オタクが歩く四国

四国八十八ヶ所歩いた記録です。構築中。

23日目(2/26) ホテルクレメント宇和島~オオズプラザホテル

6:40ごろ出発。
40kmオーバーの道のり2日目、今日は難易度が上がって札所が3つ入ってきます。
宇和島はJRの線路が途切れる地点で、高松から延びてきた予讃線と、ちょうど一週間前に通った窪川までを結んでいる予土線*1という二つの路線が乗り入れていますが、どちらも線路は北側、つまりこれから歩くほうへと延びています。
予土線は新幹線もどきが走ったりして話題になったことがある、四万十川に沿って走る風情あるローカル線です。

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線路と交差したりしつつ住宅街の中を抜け、予讃線と予土線の分岐駅である北宇和島のあたりを過ぎると、ここからは県道57号線に入り、予土線に沿って長い上り坂を歩きます。

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昨日まで歩いて来た国道56号線は宇和島から先の区間では予讃線に沿っている道路で、後で再開しますが少しの間お別れ。
登校中の小学生にあいさつされたりしながら標高を上げていく道。
右手に予土線、左手には松山自動車道が見えますが、どちらも県道よりだいぶ高いところを通っています。

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気が付くと予土線よりも高いところに上っていて、予土線をオーバークロスし、少し行くとピークとなる地点のようです。

このあたりはかつての三間町で、昨日の津島町からずっと宇和島市が続いていることになり、ずいぶん大きな市であるように思えます。
予土線の線路をもう一度オーバークロスすると、眼下には予土線の務田駅が。

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北宇和島から駅としては一駅ですがこの区間、列車にとってはきつい傾斜が続くところで12~13分を要します。
ずっと谷筋を歩いていたためかずいぶんと広く感じられる田園地帯を抜け、その先の家並みを案内に従って歩くと見えてきました。

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8:35、四十一番札所龍光寺に到着。

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本堂と大師堂よりも高いところに稲荷社があって、もともとはこちらが本堂だったそう。
神仏習合の形式を色濃く残すお寺です。
納札入れに、中から納札を持って行ってはならぬと注意書きがされていました。
回った回数が多くなると色の異なる納札を使ってもよいとされていて、特に25回以上の銀色や50回以上の金色、100回以上の錦札などになると魔除けになるとも言われているらしく、それを狙って取っていく人がいる模様。
納札入れをかき回すのは見ていて気持ちのいいものではないですが、これはこれで風習として残っているところもあるようで、その是非もいろいろなのでしょう。
納経所の方が親切にも次の札所への道を教えてくださいました。
墓地の中を抜け、ちょっとした小山を越える道です。

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やがて県道31号線に至ると、田園地帯を左手に松山自動車道を見ながらの歩きになります。

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四十二番札所佛木寺は立派な山門が県道沿いにあり、遠目からでも「あれかな?」とわかるところでした。
9:38着。

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「ぶつもくじ」が正しい読み方ですが、「ぶっきじ」だとなんだか語感がいいなあとどうでもいいことを考えました。
参拝を終えて県道に戻り、進行方向を見やるとどう見てもこの先は山。

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峠越えになります。
幸いてっぺんまで登らなくても県道がトンネルでぶち抜いてくれていますが、このトンネルも結構古いもののようで、それなりの標高までは登らなければいけません。
県道沿いに歩いていくとえらい距離になってしまうので、トンネルの手前までは遍路道を歩きます。
途中には松山自動車道に通じる道があり、緊急車両が通れるようになっているようでした。

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これを過ぎると山道になります。
結構急な道でしたが登り切り、峠越えの山道への分岐をスルーして県道を進むと見えてきたのが歯長トンネル。

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1車線の上歩道のないトンネルですが、交通量も少ないので問題はないでしょう。
トンネルを出ると宇和島市に別れを告げ、西予市に入ります。
また山道で一気に高度を下げ、肱川(ひじかわ)を渡ると県道29号。

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この川とはしばらくの付き合いになります。
変わった名前のバス停や変わった名前の川に遭遇しつ行くと、やがて下宇和駅への案内看板が現れました。

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予讃線沿いに出たようです。
松山自動車道の西予宇和インターが近くなると、遍路道は県道を離れます。
ここも結構あちこちで曲がる道で、道しるべを見落とすとどこに連れていかれるかわかりません。
辺りに注意して進みます。

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最後は急な登り坂で、立派な山門の四十三番札所明石寺には12:41着。

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「めいせきじ」と読みますが、本来は「あげいしじ」と読むお寺なのだとか。

次の札所は60km先になります。
ここから軽く山を越えた先が旧宇和町の中心部で、宿泊施設がいくつかあって、ちょうどそのあたりが宇和島から20kmほどの地点なのですが、これを過ぎるとさらに20km行った大洲市まで宿がありません。
宇和島泊とすると次の日20km歩くか40km歩くかという選択を求められることになります。
私は大洲に宿を取ったのでまだまだ歩かねばなりません。
山道を抜けた先、雰囲気のいい街並みが広がります。

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卯之町というところで、重要伝統的建造物群保存地区、いわゆる重伝建に指定されているところです。
遍路で重伝建地区を通るのは高知の吉良川以来になります。
宇和島から20kmといってもすでに7時間近く経過しており、この辺りを観光して宇和町泊、というのもそれはそれで一案かもしれません。

国道56号に出るとコンビニがあったので昼食を調達し、しばらく先にある遍路小屋で昼食休憩にします。
「同行二人」の地図には遍路小屋の位置が記載されていて、こうして休憩場所を探すのに大変便利。
遍路小屋自体も土地を提供してくれる方や周辺の方の理解があってこその存在で、その点については感謝しながら使わせてもらっています。
予讃線は卯之町を出ると沿岸の町八幡浜を経由して大洲に至るので、下宇和駅を過ぎたところで国道と線路は別れることになります。
競輪の場外車券売り場を横に見つつ、だんだん山が迫ってきて、道も上り基調に。

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歩いていると、泊まっている車から声がかかりました。
わざわざ止まって待っていてくださったようで、励ましの言葉とともに飴玉のお接待をいただきます。
この先、国道には鳥坂トンネルというのがありますが、ここも峠越えの遍路道が別にあるようです。
すでに夕方に差し掛かっている現在の時間を考えれば峠越えなどしている場合ではなく、素直にトンネルへ。

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交通量のわりに歩道のないおっかないところで、反射たすきを身に着けて歩きます。
トンネルの入り口には貸し出し用の反射たすきがありました。
1117mのトンネルを抜けると大洲市。

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歩道も復活します。
トンネルを出てからしばらくは山並みを眺められる素晴らしい景色の道で、歩道が途切れたりするので気は抜けませんが楽しい道でした。

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結構長い時間上り坂だったのに対応して下りも長い長い坂道です。
途中の公園付きの駐車場で小休止し、ひたすら国道を歩いていきます。
すでに景色は夕暮れ。
今日の宿はホテルなので到着時間を気にする必要はあまりないですが、暗くなってから山の中を行くのはいくら何でも勘弁してほしいところ。
どうにか明るいうちに町らしきところまで来ることができました。

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遍路道はいったん国道から離れるようでしたがそのまま国道を歩き、大洲トンネルというこれまた歩道のないトンネルを抜けると大洲の市街地。
大洲は城下町だったところで古い建物も残る観光地のようですが、もうそんなことを気にしていられる場合でもない感じになってきています。

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肱川に架かる橋から小ぢんまりとした大洲城の姿を眺め、国道を歩いていると見覚えのあるカラーリングに見覚えのあるロゴを付けたバスが。
京王電鉄系列のバスで、行先には「横浜・新宿」とあります。

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あれに乗ったら明日の朝には家に帰れてしまうのか、と驚きながら見ていましたが、辛かったホームシックもすっかり落ち着いていて、乗りたいとは思わなかったのは良かったのかもしれません。
さて、今日の宿であるオオズプラザホテルですが、歩いても歩いても見えてきません。
予讃線の伊予大洲駅前を越え、周囲の景色がロードサイド店舗の並ぶ商業地の雰囲気に変わります。
日も暮れていて明かりがまぶしいです。
一昨日の御荘もずいぶん都会に感じましたが、さすがに市だけあって大洲は格が違いました。
そんな商業地のさらに終端近くまで歩いて、ようやく宿に到着。
結局19:00近くのチェックインになってしまいました。
40kmどころではない距離のような気がしますが、どうにか無事に歩き切りました。
位置としてはだいぶ街はずれではありますがコンビニなども近くにあるし宿としては十分です。
今日ここまで歩いたのが明日功を奏することになるのですが、それはまた明日のお話。
体を落ち着けて休むことに専念します。

*1:厳密に言うとちょっと違うのですがこの説明にとどめておきます