オタクが歩く四国

四国八十八ヶ所歩いた記録です。構築中。

37日目(3/11) 一番札所霊山寺~東横イン大阪谷四交差点

12:29、一番札所霊山寺に到着。

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山門で一礼して入り、手水を使った後本堂へ向かい灯明と線香を上げて読経。
大師堂でも灯明と線香を上げて読経。
しかるのち本堂にくっついている納経所へ向かい、納経帳を差し出します。
「お礼参りで来ました」と一言告げると、納経帳の一番札所のページではなく、末尾の空白のページに別の墨書きを頂けます。
何より違うのが、日付が入ること。
四国八十八箇所は周回することが特徴で、納経帳には日付が入りません。
二度目以降は一度目と同じページに朱印だけを押していき、これを「重ね印」といいます。
お礼参りの墨書きは「願行成圓」という言葉だとか。
もう一つ納経所でやることがあります。
歩き遍路が出発の時に日付と名前を書くノートがあって、それに今日の日付を書き込みます。
ひと月前の自分が書いた行に書き込みを加えるのはなんとも妙な気分。
これで一番札所へのお礼参りは終わりました。
次にすべきは門前のお店に立ち寄ること。
ここまで頂いてきた御影を収める御影帳というのがあると聞いて、これはあったほうがいいなと思ったのと、杖を入れておく杖袋というものがあるようなのでそれらを買いに来ました。
それともう一つ、杖がどれだけ減ったのかというのが気になります。
人によっては10cm以上すり減ると聞き、果たして自分のはどのぐらいなのか、気になった次第。
お店のお姉さん、とても愛想の良い方で売り物の杖を横に並べてくださり、写真を取らせて頂きました。

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3cmぐらい削れていた模様。

一番札所の納経所でも遍路用品は揃いますが、個人的には門前一番街というこのお店、おすすめです。
さて、これでお遍路として四国ですべきことはおしまいで、門前を横切る県道12号線が「お四国」と「四国」の境界線のように感じられたのでした。

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「四国」に戻って、板東駅へ向かいます。

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初日にお接待してくださった方にお礼を言いたかったのですがどの建物だったかもわからず、お礼は言えずじまい。

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板東駅に着いて、いよいよ1ヶ月ぶりの乗り物、何時に来るのかなと時刻表を見ると次の徳島行きは1時間30分後。
反対側の高松行きは5分程度で来る模様。
二駅戻って板野まで出れば特急に乗れそうで逡巡の末、板野へ出ることにしました。
やってきた高松行きは結構な混雑。

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一ヶ月ぶりの乗り物、しみじみと浸りながら乗りたかった気はしますがこんなバタバタした場面になって想定外。

とはいえ、普段の旅行は基本忙しいし、自分らしいといえばらしいのかもと思いながら乗り込みます。
動き出した列車の感覚と言ったら言葉になりません。
立っているだけで景色が動いていくのです。
しかも歩いてきた道がときおり顔を覗かせます。
あっという間にさっき通った道の近くである板野に着き下車すると、どうやらこの列車は高松行きの特急「うずしお16号」を待ち合わせる模様。
乗っていた人の多くがすぐにやってきた列車に乗り換えていました。
私はというと一旦改札を出て、徳島までの特急券と乗車券を買います。
そして、バタバタしていて被ったままだった笠を外してザックに括りつけ、いよいよ遍路でなくなりました。

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徳島行きの特急うずしお13号はこれまた結構な混雑。
座席は無事確保できましたが、荷物のかさばること。

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普通列車以上のスピードでかっ飛ばし、14:17徳島着。
おなかがすきました。
何を食べようかと街中をぶらつきますが、ピンとくる店がありません。

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結局駅前のドトールに入ることに。
しかしこれが当たりでした。

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久しぶりに飲む缶でないコーヒーの旨さといったらもう。
さて、徳島まで来たわけですがこれから帰宅、というわけではなくやることが残っています。
四国を回った遍路は、弘法大師御廟のある高野山奥の院に参るという習わしがあります*1
八十八箇所を回り終え、最初に参った寺にもう一度参ることを「お礼参り」ということもあれば、この高野山参りを「お礼参り」と称することもあり、さらに四国に関してはもう一周することを「お礼参り」と呼ぶこともあるそうで、随分色んな意味のある単語です。
高野山に行くには大阪は難波から南海電車に乗ればいいので、今日は四国を出て大阪に泊まることになっています。
徳島から大阪へは高速バスが頻発していて、これが一番速いですが、今回に限っては速すぎると思い、和歌山へ向かうフェリーに乗ることに。
フェリー乗り場行のバスは結構な混雑で、徳島の住宅街の中を抜けていくので終点まで海が見えないという、およそこれから舟に乗るという感じのしない路線ではありました。
売店でおみやげなぞ買いつつ、乗船を待っていると声をかけられます。
もうすでに回り終えた身ではありますが、四国の人は優しいです。
船の中でも会話している時間のほうが長かったぐらい。
奮発してグリーン船室というところにしたら夜間の航行になるのでカーテンが閉められていて外が見えなかったことも大きいですが。

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16:20、出港。
38日いた事になる四国を離れる瞬間です。

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和歌山港までは2時間ほど。

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外の眺めはいいのですが流石に海上は冷えます。

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和歌山港からは南海電車に乗り換え、難波行きの特急サザンに。

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8両のうち後ろの4両が指定席の列車で、荷物もあったので指定席を取っておきました。
和歌山から徳島の航路は南海フェリーが運行しているので、同じ南海ということからか徳島のフェリーターミナルで券を買うことができます。
また、フェリーから南海電車に乗り継ぐ場合(逆もしかり)、電車の料金が実質無料になるという「好きっぷ」という強力なアイテムがあって、これを使うことができました。
20:00過ぎには難波へ。
お酒の解禁は明日、高野山参りを終えてからにしようと決めていたのですが何か記念に美味しいものを、と考えていて、宿に入って荷物を預けてから鶴橋に焼き肉でも食べに行くつもりだったのですが正直くたびれました。
そこで、前々から気になっていたけどわざわざ東京から行って食べるか、と問われると微妙だったとんかつチェーンのKYKに行くことに。

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なるほどおいしいトンカツでした。
大荷物で平日夜の地下鉄というのはさすがにはばかられたので、難波からホテルまではタクシーで。
さすが大阪、夜の明かりが眩しいぐらいで、元々そういうところに慣れている身としては「帰ってきた」という感覚さえ抱いたのでした。

*1:四国へ行く前に参る、という解釈もあるそう