オタクが歩く四国

四国八十八ヶ所歩いた記録です。構築中。

38日目(3/12) 高野山参り(前編)

歩き終わったら多少ゆっくり寝られるようになるかなと思っていたのですが、アラームをセットした6:00前に目が覚めました。
昨日に比べれば遅いのですが、体がすっかりこのパターンに馴染んでしまったのかもしれません。
起きて今いるのは大阪であるということを思い出すものの四国を出たというのが未だに信じられないところがあります。
7:00過ぎにチェックアウトし、地下鉄でなんばへ。
コインロッカーにザックと笠を詰め込んで、南海電車の駅に向かいます。
杖はコインロッカーに入れるには大きすぎるのと、この時点では少し山歩きをしようと考えていたので持っていくことに。
改札をくぐってまずは腹ごしらえ。
大阪に来たからにはうどんを食べなければなりません。
駅構内の南海そばで天ぷらうどんとおにぎりのセットを。

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阪急もそうですが、うどんメインの文化圏にあっても駅そばは「そば」を名乗るのが興味深いところではあります。

そういえば神戸には「高速そば」というのもありました。
これから乗るのは8:00発の特急こうや。

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南海高野線を通って高野山の中腹、極楽橋まで連れて行ってくれる列車です。

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指定券は昨日のうちに購入しておきました。
高野山の山上へは極楽橋からケーブルカーが伸びています。
歩くことにこだわるのであれば、高野山の麓、九度山というところにある慈尊院からかつての往来である町石道というのがあって、これはこれで面白そうではあったのですが時間的な面と、「もういいだろう」ということでやめました。
車内はそこそこの混雑。
さすが高野山へ行く列車ということなのか、お坊さんも乗っています。
新今宮、天下茶屋と停まり、岸里玉出で昨日乗ってきた和歌山方面へ向かう南海本線と別れて南下していきます。

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この先、和歌山県に入って最初の駅である紀見峠までは乗ったことがある区間。
全国の鉄道路線に乗る、いわゆる「乗りつぶし」をやっていて、高野線は高野山に行くまで取っておきたかったのですが、大阪府の完乗が見えてきたタイミングで高野山に行くのがいつになるかわからないことから大阪府内だけでもと思って乗っておいた区間です。
堺東、金剛と堺市内の大きな駅に停車し、次の河内長野手前では線路の両側に車庫と車両工場があります。

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和歌山県に入って紀見峠を通過し、未乗区間に突入。
紀見峠から下った先が林間田園都市。
車庫を横に見た先、JR和歌山線がやってきてカーブを過ぎると橋本。

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高野線は難波から極楽橋までの路線ですが、ここ橋本を境に全く別の属性を持つ路線です。
ここまでは住宅街の中を高速で飛ばしてきましたが、ここからは紀伊山地へと分け入っていく登山電車になります。
この性格の違いは車両に要求する性能も異なることになり、この先に入れる車両は制限され、特急以外の列車は大半がここで運行系統を分断されています。
特急列車でも、すべての車両が高速走行と登山電車のパワーを両立できるものではないという事情もあるのか、橋本までの特急が存在します。

橋本を出ると和歌山線の下をくぐって紀の川を渡り、またカーブ。

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紀の川を挟んでコの字を描くルートになっています。
次の紀伊清水を通過する辺りまではスピードも出ていて、登山電車と聞いていたのであれ?と思ったのですが本番はここから。
急に速度を落とし、カーブが多くなります。

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所要時間としては橋本でだいたい半分ですが、距離の上では橋本で2/3程度で、歩くのでも乗り物でも山登りに時間がかかるのは変わりません。
どんどん山が深くなっていきます。

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そこでふと、この山の深さは四国で見た景色に似ていると感じました。

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高野山は空海自身が入定の地に選んだとされていて、もしかすると空海もこの山の深さに四国を感じたのかもしれません。
終点極楽橋が近づくと、自動放送で高野山の案内が。
日本語、英語ときてこれは普通だなと思っていると、フランス語らしき放送が続きます。
この手の放送だと中国語や韓国語が出てくるパターンが多いですが、これは意外でした。
あとで調べてみたところによると、フランスで出版されたエッセイで紹介されたことによって、ちょっとした高野山ブームがあったのだとか。
極楽寺には9:22の到着。
駅には観光列車「天空」がスタンバイしています。
高野山へはここからケーブルカーに乗り換えるのが一般的ですが、私は改札を出ました。

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ケーブルカーで山上へ出るとそこから今度はバスで中心部へ向かうことになりますが、高野山本来の入り口である大門から山内に入ることができないのが気になっていたのです。
ここから登ると大門の方へ出られると聞いていたので最後の山登りだと思っていたのですが、改札を出るとそこら中に「クマ注意」の看板が。

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四国はクマの生息数が少ないらしく、そういえば一度もクマ注意の看板は見ませんでした。
なるほど、ここはもう四国ではないのだと実感させられる出来事でした。
他にハイカーの人がいれば多少はと思ったのですが流石にハイキングにはいささか早い時期。
諦めてケーブルカーに乗ることにしました。

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特急列車に接続する便の次の便だったのでガラガラで、前面展望を楽しみながら登っていきます。

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ケーブルの山上駅に当たる高野山駅からはバスに乗り換え、バス専用道を通って最初の停留所である女人堂(にょにんどう)で下車。
かつて高野山は女人禁制の地で、女性が立ち入ることができるのはここ女人堂までだったそうです。

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ここで下車したのはここからも大門へ出る登山ルートがあると聞いたからだったのですが、こちらにも「クマ注意」と。
最後の抵抗として、山内を見て回る前に車道経由ではありますが大門へ歩いて向かうことにしました。

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山上の宗教都市である高野山はその町並みもまた独特の景観を醸しており、歩いていて楽しいところではあります。

早い時間ながら人通りはそこそこあって、さすが観光地。
ブラブラ歩くこと40分ほどで大門。

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なるほど大門です。
でかい。
そこから改めて山内に入り、まずは壇上伽藍という、空海が高野山で最初に開いたというところへ。
金堂や根本大塔といった建築物が並びます。

この辺は拝観料を払って中を見学することが可能です。

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根本大塔は特にものすごい大きさで、大門もそうでしたがスケール感が変になるところ。
次にやってきたのは金剛峯寺(こんごうぶじ)。

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歴史の教科書にも出てくるアレです。
ここは真言宗の総本山。
ただ、もともとは金剛峯寺というのは高野山全体を指すものだそう。
拝観していこうと思っていたのですが、何かの儀式の最中らしくえらい人混みで入れなさそう。
転衣式(てんねしき)という、役職者の就任式だったようです。
その人の就任に反対なのか、大音量で演説して回る車もあって、宗教といえど内側は政治の世界なのだなと思わされる出来事でした。

 

そろそろ高野山へ来た本来の目的を果たしに行くことにしましょう。

 

(後編へ続く)