オタクが歩く四国

四国八十八ヶ所歩いた記録です。構築中。

17日目(2/20) まるか旅館~ネストウエストガーデン土佐

7:15頃出発。
宿を出たとたん、予報通りの雨。
38番札所までは80kmあり、これは全札所間の距離としては最長で、あさってのお昼に到着する予定です。
国道56号に出ると、今日はほとんどずっと国道沿いを歩くことになります。

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窪川の町を出ると道は登り基調。

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国道がグネグネと曲がって傾斜を緩くしていて、それをショートカットする遍路道があるようなのですが工事中とのことでひたすら国道沿いを行きます。
登り切ると黒潮町との町境である片坂で、8:22通過。

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結構激しく降っていますが、ペースは悪くありません。
ここからは長い下り坂で、途中にはブレーキの壊れた車対策か車止めも。

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土佐佐賀温泉という、これまた遍路には評判の良いらしい宿の前を通り過ぎると荷稲(かいな)駅の近くに出て、ここからは土佐くろしお鉄道中村線と並走します。
この路線は今日の出発地点である窪川から、四万十川の河口がある中村を結ぶ路線で、高知から特急が直通しています。
荷稲の次の駅である伊与喜駅前を過ぎたところでいったん国道から離れます。
国道から離れるのが遍路道でここでは国道のほうが距離が短いようなのですが、見ておきたいものがあったのでこちらを選びます。

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国道をくぐるところで靴を脱いでひっくり返すと水が出てきました。
雨を相当吸っているようです。
遍路道を行くと新しそうに見える案内板が。

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熊井という集落を抜けてちょっとだけ山登りをすると、やがてトンネルが現れます。

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明治38年開通という「熊井トンネル」で、この案内板の文句が気になってやって来ました。

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洒落のきいたことを言う明治の人もいたものです。
先ほどの案内板曰く「お遍路さんに人気のトンネル」だそう。
明治時代のトンネルだけあって内部には明かりがなく、真っ暗な中向こう側の明るさだけを頼りに歩きます。
すると、向こうからもお遍路さんが。
真っ暗な中、お互い顔も見えない中での邂逅です。
雨がすごいですねーということと、お互いの今日の宿泊地の話をしたぐらいでしたが、とにかく真っ暗な中で出会ったということが強烈に印象に残っています。
熊井トンネルを行ってみようと思わなければそもそもこのお遍路さんと会うこともなかったですし、靴をひっくり返すために立ち止まったりしなければタイミングがずれてトンネルの中ですれ違うということにはならなかったでしょう。
そういう、偶然の積み重ねで起きた出来事であることを考えると、なんとも面白いものだなあと感じたのでした。

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国道に復帰すると道の駅なぶら土佐佐賀はすぐ。
ここで休憩にしますが、とにかく前進ずぶ濡れなので建物の中に入る感じではありません。
レストランなどいろいろ美味しそうなものが並んでいるのですが。
外の売店にカツオメンチというのがあったのでこれを食べてみます。

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じゅわっと魚汁(?)が出てくる感じで大変おいしかったです。
道の駅の先でまた国道と別れ、土佐佐賀の町中へ。
Google Mapで見るとこの道に中村街道という表記があるので、旧街道なのでしょう。
町を抜けた辺りで国道に合流すると久々に海沿いの道。

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この天気で海も豪快に荒れていますが、雨のほうは少しずつ落ち着いてきました。
線路を見ながらひたすら無心で歩き続けます。
基本的には歩道完備なのがありがたいところです。

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ホームシックからは徐々に解放されてきたようで、一時に比べれば精神状態もよく、この先の行程について思いを巡らせます。
愛媛県に入って宇和島まではすでに宿を確保していますが、問題はその先。
宿のある町が20kmごとに存在しているエリアがあって、一日で20km歩くか40km歩くかという選択を迫られているのです。

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昨日30km以上歩いていますが宿に早く着きすぎたという点から、一日の距離をもう少し伸ばしてもよいのではと思うようになっていました。
3日連続で40kmオーバーの道のりになりますが、そうすれば用事を抱えている松山にも多少早く着くことができるように。

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頭の中で松山までの行程を組み立て、宿に着いたら予約しようと決めました。

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そうこうしているうちに道の駅ビオスおおがたへ。
この辺りからは海岸沿いの入野松原を行くのが遍路道なのですが、引き続き国道を歩きます。
土佐入野というところが黒潮町の役場所在地で、町中に入ると国道も細くなって歩道もなく歩きにくい道になります。
町を回避するようなバイパスを建設中のようでした。
ちょうど役場の近くにあるバス停を見ると、新宿行きという文字が。

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繁忙期限定で走る宿毛と新宿を結ぶバスがここを経由するようです。
やがて道沿いに現れた一軒のうどん屋。
「いろりや」という店で、「水曜どうでしょう」の四国八十八箇所にも出てきたところです。
今日の宿は入野であることから、昼食はここにしようと決めていました。
すでに15:30近くと、昼食というには遅い時間ではありますが。
さすがに合間の時間であるからかお店は空いていました。
冷やしぶっかけ天うどんを注文。

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ちょうどいい腰のあるおいしいうどんで、ポン酢入りというつゆが体にしみます。
天ぷらも抜かりなく、野菜は味が濃くエビもプリプリとした食感で美味。
大盛りを頼んだら本当に大盛りだったのもうれしかったです。

店を出ると晴れていました。
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宿は国道から線路を挟んだ反対側、入野松原の中にあります。

結婚式などもできるらしいしゃれた建物で、大浴場付きのとてもいいホテル。
今日は土曜日だったはずなのですが、こんないい宿が空いていていいのだろうかと思うぐらい。
夕食を調達するのにいろりやの近くにあったローソンまで20分ぐらい歩くことになるような立地が多少よくないぐらいですが、本来の遍路道沿いではあるし車なら別に障害になるような距離でもないと思うのでお勧めしたい宿です。
室戸で降られた日と同じくとにかく濡れた荷物を乾かすのが最優先。
ここまでの札所でいただいてきた御影も濡れてしまっていました。
溶けてくっついてしまっているのを慎重にはがして並べます。
そんなこんなで忙しかったからか、久々に辛さを感じない夜でした。