オタクが歩く四国

四国八十八ヶ所歩いた記録です。構築中。

15日目(2/18) 白石屋旅館~ビジネスホテルさつき

数日前に買って残っていたへんろいしまんじゅうで朝食。
7時過ぎに宿を出て、夜が明けたばかりの気持ちのいい空気の中を歩きます。

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寝不足の感はありますが昨日早く宿入りしたおかげで足のほうはすこぶる快調。
とはいえやはり気持ちは晴れません。
リタイアの文字も頭をよぎりますが、高知県を出るまで宿の予約は済ませてしまっています。
足を壊していたらリタイアしていただろうなと今でも思います。
市街地の入り口近くまで国道を行き、県道39号線に入るとここからは初めての区間です。

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少しずつ人家がなくなってきて山の中に入ってくると、やがて塚地坂休憩所というパーキングエリアのような施設が。
進行方向を見ると塚地坂トンネルというトンネルが口を開けています。

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休憩所の脇から登山道があって、トンネルを使用せずに峠を越えることもできるようになっており、旧道であるこちらを行く遍路も多いようです。
ただでさえ苦手な山道、そのうえ今の滅入った気持ではとても山に入る気になれません。
トンネルを行くことにします。

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このトンネルには幅の広い歩道がついていて、歩くには問題のないところでした。
トンネルを抜け、道を下っていくと宇佐という町。

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海沿いに走る県道23号に入ると、前方には長い橋が見えます。
次の札所へはこの宇佐大橋を渡ります。

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心情とは裏腹に天気も良く気持ちのいい道で、恨めしい気がしてきます。

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区切り打ち(何日かずつに分けて巡拝すること)であればこんな辛い思いはせずに済むのだろうと思うと、あれほど夢見ていたはずの通し打ちを選んでしまったことに対する後悔も沸き上がってきます。
橋を渡ってしばらく行くと三陽荘という旅館があって、ここまでだったら昨日歩ける距離で、計画段階ではここに泊まるのもよいかと思ったのですが値段を見るとちょっとお高め。
温泉もあって魅力的ではありましたが諦めざるを得ませんでした。
もう一軒、国民宿舎土佐というのもこの辺りにありますが、こちらもちょっとお高めのようで諦めたのですが、昨日、種間寺の近くにあった看板の価格はずいぶん安く、これならこっちでもよかったかもと思いました。
もっとも、おかげで白石屋旅館という風情ある宿で一夜を過ごせたのは事実。
今日は須崎で泊まりたいと思っていたのでこのあたりで泊まってしまうと今日歩く距離が短くなりすぎるという問題もありました。
三陽荘を過ぎると三十六番札所、青龍寺(しょうりゅうじ)はすぐで、9時12分着。

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高台の上にあるお寺を想像していたら意外にも山門と納経所は平地でした。
山門を入ると本堂へ向かって風情のある石段が延びています。
次の札所ははるか遠く58.5km先。
今日は途中の須崎まで歩きます。
先ほど渡ってきた宇佐大橋は浦ノ内湾という湾の入り口に架かる橋で、この湾は内陸に向かって深く切り込んでいます。
今いるここは、浦ノ内湾と太平洋に挟まれた横浪半島。
須崎へ向けては横浪半島を抜ける横浪黒潮ラインという道路を歩くか、宇佐大橋をもう一度渡って湾の反対側を歩くか、あるいは浦ノ内湾内の集落を結ぶ須崎市営の巡航船に乗るか、3通りのルートがあります。
船に乗るのが本来のルートとも言われますが、今乗り物に乗ったら心が折れそうということで巡航船は除外。
道としては打ち戻って湾の反対側を行くのがアップダウンも少なく歩きやすいようですが、アップダウンはあるものの景色が良いという横浪黒潮ラインを行くルートを選びます。

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納経所の脇から延びる、青龍寺の奥の院へ向かう山道を行くと、10分少々で車道に出ました。

前述の国民宿舎土佐もこの辺りのようです。

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アップダウンがあるとは言っても車道があるぐらいだしと高をくくっていましたが、歩くのに問題があるほどではないにせよ傾斜はそこそこあり、カーブの多い道で先に進んでいる感触が得られません。
最初の登りも含めなるほどおすすめされないわけだと思いましたが、景色は確かに良かったです。

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場所によっては左を見れば太平洋、右を見れば浦ノ内湾という贅沢なところも。
須崎市に入って少し行くと、私のような野球にほとんど関心のない人間でも名前を聞いたことがある明徳義塾への入り口がありました。
かの朝青龍関はこの明徳義塾高校出身で、先ほどの青龍寺が四股名の由来になったのだといいます。
車通りも少なく、まして歩いている人間などまったくいない中を延々歩き、武市半平太の像が建っている休憩所で昼食とします。

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ここを根城にしているのか猫がいっぱいでした。

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休憩所を過ぎると道は高度を下げ始め、地平まで降りてしばらく行くとやがて打ち戻りルートと合流します。

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合流すると道はまた登りになり、鳥坂トンネルへ突入。
ここは歩道のないトンネルでした。

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トンネルを抜けると緩くて長い長い下り坂。
その途中に遍路小屋があったので休ませてもらいます。
そこにあった張り紙。

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室戸岬をぐるりと回って高知市もとうに通り過ぎたというのに土佐の国はまだ半分とは、なるほど修行の道場です。
今日で高知県に入って6日目、スケジュールからすると確かに半分ぐらいでした。
やがて左手に巨大なプラントが。

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住友大阪セメントのもので、ここの正門を横に見ていくのが遍路道です。
やがて市街地に入りますが、一番近い駅は多ノ郷で、須崎まではまだ2駅あります。
どうやらこの辺りは新しく開発されたところらしく、雰囲気もそういったものを感じました。
県道388号線を行くと、だんだん町並みが昔ながらのものに変わっていきますが、国道56号と、高知自動車道からつながる須崎道路が古い街並みの中をぶち抜いていてなかなか面白い景観です。
須崎というところはそこら中に山が生えているようで、地形に沿って町が広がる歩いていて面白いところでした。
16時少し前に今日の宿、ビジネスホテルさつきに到着。
ホテルではありますがどうやらアパートだった建物を流用しているようで、部屋の設備はホテルながらそれ以外はどう見てもアパート。
設備はちゃんとしているし値段もお安いのでよかったです。
須崎は鍋焼きラーメンが名物ですが気持ちが乗ってこず、夕食はスーパーのお弁当でした。
これはこれで気楽でよいのですが。
そして、この辺りで、遍路が終わったらできるだけ早いうちに四国へ旅行に来て、今回できなかった観光をたっぷりしてやろうと決意したのでした。