オタクが歩く四国

四国八十八ヶ所歩いた記録です。構築中。

13日目(2/16) 高知黒潮ホテル~高知屋

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7:15ごろ出発。
ホテル内レストランの朝食が美味しかったです。
大日寺への入り口あたりまでは昨日往復した県道22号をまた歩くことに。
大日寺から県道へ降りてきたところで県道22号とはお別れで、その先住宅街の細い路地を抜けて県道234号に出ます。
通勤時間帯とあって交通量が多く、歩道は歩道で中高生の自転車がたくさん走っています。

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道は90度カーブして物部川を渡り、香美市へ入ったところで県道と別れ、畑の中や住宅街をグネグネと曲がる道。

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写真中央からやや左下、右向きの矢印が道標です。

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道しるべを見逃すと盛大に迷いそうな予感がする中を気をつけて進みます。
やがて正面を横切るように出てくるのはJR土讃線の線路。

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線路沿いを歩く場面は少ないですが、土讃線とは長い付き合いになります。
ここでもほんの顔見せ程度で線路を渡り、やがて県道45号線に。
道沿いに「へんろいしまんじゅう」という饅頭屋があります。
さばせ大福を食べ損ねたこともあって今度こそ買って食べようと思っていて、無事購入することができました。
5つも入っていますが、幸いそこそこ日持ちするのでこの先の食料として役に立ってくれました。
その先新改川という川を渡ると札所はもうすぐそこ。

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余談ですが土讃線に新改という駅があり、この川の上流にあたるようです。
新改は辺りに何もない、いわゆる「秘境駅」として有名な駅です。

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川沿いの田んぼの中を歩き、9:38、二十九番札所土佐国分寺に到着。

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聖武天皇の時代に建立された土佐の国の国分寺です。
静かな雰囲気で腰を下ろしてさっき買ったへんろいしまんじゅうを早速食べてみます。

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まだほんのり暖かく、普通の饅頭ではありますがおいしかったです。
札所を出発して田んぼの中を横切る道から舗装道路へ出ると岡豊(おこう)城跡への登り口を横目に見て、やがて登り基調になります。
舗装こそされているものの結構な山の雰囲気で、今日は距離が長く札所も多いという事情もあって焦ります。

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経験則ですが、短距離では速くても歩く距離が長くなればなるほど一般的な歩行者の速度といわれる時速4kmに収束していくというのがあって、行程を組む時も大体そのペースで考えています。
この時間は休憩時間を含めての時間です。
時速4kmで8時間歩けば32kmとなるので、これに参拝時間が入ってくることを考慮して30kmを越えるあたりから宿泊場所を考えるような感じで予定を組むようになっています。
速度は平地が基準なのでこのように想定外の山越えが入ってくると予定が狂うことになってしまいます。
幸いそこまで標高の高いところではなく、道はやがて県道384号線に合流。
逢坂峠というらしい峠で、11:21、高知市に入ります。

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標識に高知駅6kmという表示が出てきました。

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残念なことに遍路道は高知市の中心部をスルーするようにできているので、10年ぶりではありますが高知の街を楽しむことが出来ないのは残念。

この標識が出てきた先で県道と別れ、住宅街の中をショートカットし、11:40頃三十番札所である善楽寺に到着しました。
山門の写真を撮り忘れたようです。
この善楽寺、すぐそばに土佐国一宮である土佐神社があるのですが、もともとはこの神社の別当寺(神社を管理する役目を負った寺)として創建されたそうです。
ところが明治の神仏分離によってこの寺は廃寺に。
代わって同じく高知市内にある安楽寺というお寺が30番札所となり、その後善楽寺が復興してからはこちらも札所であることから30番札所が2つあることにあり、遍路はどちらかの札所を30番として参拝するようになっていたのだといいます。
結局この問題が落着して30番札所がこの善楽寺、30番奥の院が安楽寺に決まったのは1994年のことだそうな。
善楽寺からはまず土佐神社の参道を抜けていきます。
一宮だけあって立派な参道でした。
この辺りの地名も土佐神社に因んで「一宮」といいますが、「いっく」と読むようで、近くにある土佐一宮駅も「とさいっく」と読みます。

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川沿いに歩いて土讃線のガードをくぐり、やがて県道44号線に。
道はとても広いのですが周囲の建物は背が低く、空が広く見えます。

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県道374号線との交差点で県道から離れることになりますが、ここに「たも屋」といううどん屋が。
空腹も感じていた上、冷たい麺をすすりたいという気分だったところにちょうど店があってはもうたまらず入ってしまいました。

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おなかも満たされたところで次の札所を目指して再度歩き始めます。
田んぼの中を抜けると、やがて前方に線路が見えてきました。
高知の路面電車であるとさでん交通後免線の線路ですが、この辺りでは道路と線路は別になっているようです。

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とさでん交通というのは以前の土佐電気鉄道で、昨日廃線跡を歩いた安芸線を走らせていた会社でもあります。
近くに文殊通という電停があり、ここで折り返しとなる列車もあるようでした。

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そんな文殊通電停の近くから住宅街を抜けていくと絶海池*1という池に架かる橋を渡り、道しるべに従って歩いていくと山道に入ります。

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10分少々で山道は終わり、牧野植物園という植物園の敷地に出ます。

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遍路道が施設内を通っており、見物客に交じって植物園の中を通っていきます。
営業時間外でも通り抜けだけはできるようになっているようで、遍路は植物園の入場口の裏にある小さな門から出ることになります。
ここまで来ると札所は目の前。
13:58、三十一番札所竹林寺に到着。

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何日か前に、かつての伽藍の遺構が見つかったというのをローカルニュースでやっていました。
牧野植物園とともに五台山という山の上にあるお寺で、名前の通り竹林に囲まれた雰囲気の良いところでした。
札所は観光地然としたお寺よりも普通の街中にあるお寺といった趣のところが多いですが、ここは観光地の雰囲気が強いところです。
じっくり見て回りたいところではあるのですが、今日はまだ先があるのでそこそこで切り上げます。

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山を下り、下田川という川沿いの道を行きますが、工事中のため仮説の通路を通り、川を離れると高知東部自動車道を横に見ながらの歩きとなり、やがて高知東部自動車道の下をくぐって県道247号線に合流すると、武市半平太旧宅の前を通ります。
道案内に従って県道から離れてトンネルを抜けると、ここまでの道と雰囲気が変わって新興住宅地。

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その先、前方に瓦屋根の立派な建物が見え、札所かなと一瞬期待しましたがよく考えてみれば次の札所は山の中腹。
こんな平地にあるわけがありません。
その建物の裏側を回ってやがて札所の登り口に。

10分ほど登って15:49、三十二番札所禅師峰寺(ぜんじぶじ)に到着。

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時間が時間だからか、ひっそりとした雰囲気でした。
本堂から後ろを向くと太平洋が見え、よい景色です。

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遠くへ目をやると、海の色が途中ではっきりと変わっています。
あれが黒潮というやつなのかもしれません。
さて、納経を終えると16時をだいぶ回っています。
今日の宿は次の札所の門前で、ここから7.5kmほどあります。
浦戸湾という湾を越える必要があって、渡し船を使うか橋で越えるかという二つのルートが存在しています。
渡し船が本来の遍路道ではあるようですが、5日目にさかもとまでの送迎を断っていてここまで乗り物に乗っていません*2
このまま最後まで乗り物に乗らないというのも面白そうだということで、橋を渡るルートを選びました。

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県道14号は海沿いの道で、冷たい風が吹き付けて今までで一番寒いです。
宿に着くのが遅くなってはならぬと急ぎ足で体はその分温まるはずなのですが、それ以上の勢いで風が体温を奪っていくようです。
やがて前方、かなり高いところにかかっている橋が見えてきます。
この橋はちょうど湾の入り口にかかっているため、船の通行を確保しなければならず、この高さなのでしょう。
橋の登り口まで来ると、歩道が急に狭くなります。

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交通量も多く、万一反対側から人が来たらすれ違うのが大変そうで、そういうことにならないようにと願いつつ登っていきます。
50mという高さからの眺めは結構なものでしたが、交通量が多い中で風が吹き荒れていて、笠が飛ばされようものならそれだけで事故を招きかねないため写真を撮るのも難しいところでした。

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どうにか渡り切ると、かの桂浜がすぐ近くです。
県道に沿って行けば桂浜にたどり着きますが、こちらは階段を下って桂浜と反対方向に向かって、日暮れが迫る漁師町をひたすら歩きます。

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おとといの土佐鶴に続き、今度は酔鯨酒造の前を通りました。
結局18時を少し回ったところで今日の宿、高知屋に到着。
札所の門前という立地から有名な遍路宿のようです。
シーズンオフの今日は工事関係者が多数宿泊しているようでした。
結構な負荷をかけて歩いてきたこともあって、ごはんが美味しかったです。
部屋もきれいでした。


*1:たるみいけ、と読むようです

*2:2日目に自転車はちょっとだけ乗っていますが、宿入りしてからの上自力で動かすものなので例外とさせてください