オタクが歩く四国

四国八十八ヶ所歩いた記録です。構築中。

10日目(2/13) ロッジ室戸岬~ホテルなはり

朝食の間雨らしき音がしていましたが、7:15ごろ宿を出ると止んでいました。
国道沿いを歩いていきます。

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やがて右手、山のほうに大きな像が見えてきます。

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「室戸青年大師像」という、青年時代の空海をかたどったものだそう。
その先、またも右手に見えてくるのが御厨人窟(みくろど)という洞窟で、弘法大師の霊跡です。

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洞窟の中から見える景色が空と海の青だけだったことから、「空海」の法名を得た場所とされていて、どんなところか興味があったのですが入り口が封鎖されています。
バーだけなので乗り越えるのは容易いですが、何か事情があるのだろうということで、残念ですが外から拝むだけにしておきました。
この辺りまで来ると雨が本降りになってきて、10日目にして初めての雨の中の歩きになります。
岬観光ホテルというえらく風情のある建物を横目に歩き、やがて室戸岬灯台への登山口にたどり着きました。

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札所へもこの道を登っていくことになります。
雨の中の山登りなので足元に気を付けつつ歩いて、登り切ると二十四番札所、最御崎寺(ほつみさきじ)の山門が現れました。
08時02分着。

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宿から1時間かからない程度で来られました。
ここを過ぎると室戸市街へ至る道で、評判のいい宿もあります。
日和佐から3日目に着いたことになりますが、2日でここを打ち、室戸市街で泊まるというパターンもできそうです。
その場合、間の宿泊を高知県に入った先、東洋町内にするのがよいのではと思います。
それだとあまり遅くならずに宿入りできそうに感じました。
さて、この最御崎寺。
土佐の国最初の札所であり、室戸市内に3つある札所の一つで市街地の東にあることから「東寺」とも呼ばれます。
名前の通り室戸岬のすぐそばのお寺ではありますが、ここは山の上。
岬は国道沿いにあり、歩きのルートからは少々外れた場所にあります。
雨が酷いので本堂の脇に荷物を置かせてもらい、納経します。
雨の中でも参拝者はぽつぽついました。
次の札所へはまず車道を歩いて地平へと降りていきます。
「室戸スカイライン」と名付けられたつづら折りの道で、晴れていれば相当な眺望であろう景色です。

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残念ながらこの雨では高さは実感できるものの遠くは見えません。
地平まで降りてきたところで国道には入らず、一本裏の道を行くのが遍路道のようです。

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雰囲気からして旧街道ではないかと思います。
その先、国道と交差するところまできて信号を待っていると、通りすがりのおばあちゃんが「この道を行くんやで」と教えてくれました。
道迷いでなくてもこうして声をかけていただけるのは何ともありがたいものです。
そういうところでちょっと立ち話をするのも面白いもの。
国道を渡ると港があり、そのすぐそばに門前町が形成されています。
二十五番札所、津照寺(しんしょうじ)。
9:58着。

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地元では「津寺」と言われているようです。
本堂だけ高台の上にあって、結構急な階段を上ります。
納経所の前、屋根の下にベンチがあったのでここで休憩させてもらってから出発。
このお寺周辺が室戸市の中心部のようで、ここから次の札所へ向かう道には商店街もありました。
また国道を渡って歩いていくと、前方に山が現れます。
次の札所はこの山の中。

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えっちらおっちら登って11:36、二十六番札所金剛頂寺に到着。

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山門には大きな草鞋が据え付けられていました。
ここは「西寺」と呼ばれているようです。
このお寺には宿坊があり、料理が豪華だったりよいところだといいます。
この宿坊の良さを力説してくださった方がいうにはテレビがないことだけが唯一の不満(宿坊はあくまで修行の場である、ということだそうな)、という話でした。
納経を済ませるとお昼過ぎ、おなかがすきました。
下りも結構な山道でしたが、下りきったところにキラメッセ室戸という道の駅があり、道の駅があるということはレストランがあります。
「鯨の郷(いさのごう)」という店名の通り、鯨が食べられる店で、そういえば鯨は高知の名物だったなと思い出し、鯨の竜田揚げを昼食にしました。

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今日の札所はすべて打ち終えたことになり、あとは宿までひたすら歩くだけ。
高知県は四国四県中最も長い384kmという距離を歩くのに、札所はわずか16と少ないのです。
道の駅を出て国道を少し歩くと途端に道の両側が防風林らしき木々に覆われた、寂しさを覚えるような道になりました。

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どんなところに連れて行かれるのかと心配になりますが、やがて人里に出ます。
吉良川というところで、室戸への旧街道の町並みが残っている重要伝統的建造物群保存地区、いわゆる重伝建に指定されているところです。

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なるほど風情のあるいいところで、遍路でなかったらもう少しゆっくり見ていきたいのですが、宿までまだまだあるし、雨は落ち着いたものの荷物は濡れているしで観光できるテンションではありません。
吉良川を抜けたあたりで、団体のお遍路さんを追い抜きました。
バスツアー遍路というのは札所をバスで巡るものだと思っていたのですが、最近はそれだけではないようで、こうして要所要所を歩くという形式のツアーがあるのだといいます。
吉良川を出ると今日の宿がある奈半利町までひたすら国道を歩きます。
海沿いに出ると、荒れ模様の太平洋が顔を出し、国道沿いとはいえ悪くない道でした。

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岬をショートカットする遍路道があるようでそちらを行こうとしていたのですが、入口への分岐に気付かずスルーしてしまいました。
この天候では悪路だった可能性もあるので、ある意味よかったのかもしれませんが。
15:41、奈半利町に入りました。

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雨はほぼ止んでいます。

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奈半利の市街地に入ったところで国道から少し入ったところにあるホテルなはりが今日の宿。
17時少し前の到着ですが、素泊まりの上物資の補給もしたかったので中心部へ出ます。
ここ奈半利町から高知市のお隣南国市を結ぶ土佐くろしお鉄道のごめん・なはり線という路線があり、これから当分の間この路線に沿って行くことになるのですがその終点である奈半利駅の前にスーパーがあるとのことで、期せずして奈半利駅を訪問できました。

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直近、といっても10年前ですが高知に来たときにこのごめん・なはり線に乗っていて、確かに駅の様子には見覚えがあって嬉しかったです。
今回は乗れないのが残念なところですが。
ホテルに戻り、まずは荷物をばらします。
ザックカバーで覆っていたはずのザックも中までびしょびしょ、衣類は圧縮袋のおかげで無事、そのほかの物もおおむね袋に小分けにしていたおかげで無事だったのは幸い。
濡れているものはとりあえず広げて、バスタイムにします。
大浴場も完備、部屋の設備もよい、今回は使いませんでしたがレストランの食事もおいしそうと、いずれ普通に泊まってみたいと思うとても良いホテルでした。
雨はやんだものの風が強いようで、夜中、風の音がしていたのが記憶にあります。
記憶があるということはそれだけ眠りが浅い、ということなのかもしれません。
初日からずっとアラームが鳴るよりも前に目が覚めていて、昼間歩いていると眠くて仕方ない場面が時折あります。
このまま歩けるのか、少々心配なところ。