オタクが歩く四国

四国八十八ヶ所歩いた記録です。構築中。

8日目(2/11) 国民の宿うみがめ荘~ペンションししくい

朝食は6:30から。
バイキング形式でエネルギー補給をしっかりとします。
宿の目の前が海岸で、海を眺めながらご飯をぱくついているとちょうど日が昇ってきました。
この辺りでは条件が整うと登ってくる太陽と光が反射する海とでだるまのような形になる、「だるま朝日」というものが見られるのだといいます。
海岸に目をやれば海へとレンズを向けているでかいカメラが何台も。

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今見ているこれがだるま朝日というものなのかはわかりませんでしたが、いい眺めでした。
7:10ごろ出発。
昨日通った道をまた歩き、薬王寺の門前へ。
次の札所までは75キロもあり、一日でたどり着ける距離ではありません。
だいたい2日~3日程度かけて行くようです。
8日目にして初めての、札所を全く打たない純然たる移動日です。
現代日本において目的地まで3日もかけて移動するというのはまず考えられないことで、この道を歩くことをとても楽しみにしていました。
薬王寺の門前を横切っているのはおなじみ国道55号。

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時折逸れる場面はあるものの、基本はずーっとこの道を歩いていきます。
日和佐を出るとまずは登り基調の道のり。
民家もなくなってきて、あるのは山と道だけになります。
歩道完備なのはとてもありがたく、歩きやすい道。

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山道を志向して遍路に来た人には延々アスファルトの道が続くこのルートは不評のようではありますが・・・
長さ690メートルという日和佐トンネルがピークで、トンネルを抜けると下りに入ります。

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この辺り、直接は見えないですがJR牟岐線の線路が並走しているところで、ときどき列車の走行音が聞こえてきます。
9:22、牟岐町に入りました。

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下っても下っても山という感じで、番外札所の小松大師の入り口を過ぎたあたりにあったベンチで休ませてもらいます。
やがて周囲が町らしい景色になってきて、11時ごろには牟岐駅前を通過しました。

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昨日薬王寺を打った後うみがめ荘まで結構な距離を打ち戻り(参拝の後、来た道を引き返すこと)したのが引っかかっていましたが、日和佐の次の町であるここまで4時間と考えると、日和佐に泊まるということ自体はそうせざるを得ない部分があるのかもしれません。
由岐の町を通らない国道ルートで薬王寺に至った場合、あるいはここまで来られるのかもしれませんが。
宿のために打ち戻りというのはこの先も何度も発生し、そのたびにもうちょっとうまくやれなかったのかという思いにはなりました。
戻る分進んでいたら、結願までの日数ももう少し減らせていたのかもしれません。
遍路はスピードを競うものではないというのは確かですが、それでもいつまでかかるのか、というのは気になるものです。
ちょっと上った先、トンネルを抜けると内妻峠というところで、待望の海沿いに出ました。

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今日はとにかく天気が良く、真っ青な海がとても美しい日です。

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国道のトンネルに近づくたびに、古道への道しるべが出ています。
トンネルができる前は山を越えていたわけで、言うまでもなく遠回りの道になります。
整備状況もまちまちのようで、荒れ果てているところもあると聞きますが、実際のところは入り口から覗いた程度ではわかりません。
私はというとひたすら国道を進みました。
11:52、徳島県最南端の町である海陽町に入ります。
海陽町に入ってすぐ、JRの鯖瀬駅そばに別格札所四番の八坂寺があります。

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「鯖大師」とも呼ばれるお寺で、鯖にまつわる弘法大師の伝説が残ります。
宿坊もあって、お勤めの護摩焚きがすごい、という話をあちこちで目にしました。
ここの住職さんもまた遍路に出るらしく、山道では鯖大師の名前が入った道しるべをあちこちで目にします。
国道沿いにさばせ大福餅というお菓子があると聞いていて、ぜひ食べてみたいと楽しみにしていたのですが、どうもやっていない模様。
残念ですが先に進みます。

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鯖瀬を過ぎるといったん道は内陸に入り、浅川駅の先で線路と交差。
その先にあった休憩所でしばし休憩することに。
「50分歩いて10分休憩」などのノウハウは頭にはありますが実践する気になるかというとまためんどくさいところで、足が動くので先に進みたくて仕方ない気持ちになり、ノウハウの通りには行かないのが実情です。
ここまでくると海部の町はもうすぐ。
室戸への距離も60kmを切りました。
コンビニで食べるものとお茶を買って、その先にあった遍路小屋第一号という遍路小屋で昼食とします。

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阿波海南駅がすぐそばという地点ですが、海部川を渡るともう海部なので、ここまでは集落ごとに駅があるという感じでしたがここについては一続きの町ではないかと思います。
そんなわけで線路と並走する国道を歩いて海部川を渡って海部の町に入ると、線路上に妙なトンネルがあります。

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わかりにくいのでちょっと加工しました。

写真中央のトンネルです。

本来トンネルは山を貫くのに作るものですが、このトンネルの上には肝心の山がなく、トンネルの構造物だけが露出しているというまったく妙というしかないものです。
「町内トンネル」というトンネルで、もともとはちゃんと山を貫いていたものが、周囲の造成の結果こんなことになったのだとか。
トンネルの先にあるのが海部駅で、ここはJR牟岐線の終点になります。
線路はまだ続いていて、ここからは阿佐海岸鉄道阿佐東線という路線になります。
営業キロにして8.5キロ、駅に至ってはここ海部を含めて3駅しかない小さな鉄道ですが、もともとは「阿佐」の名前の通り高知方面と線路をつなぐ計画がありました。
軽く丘を越えると正面に見えてくるのは那佐湾。
アメリカ航空宇宙局の略称と同じ音なのでそれをもじった宿泊施設やモチーフにした遍路小屋などがありました。

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那佐湾沿いの道もまたよいものでしたが、さすがにくたびれてきました。

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今日の宿泊地は高知県の県境手前にある宍喰という町。
距離を稼ぐなら高知県に入ってしまうという手もあったのですが、初めての県境越え、疲れた体で行くよりは休んで回復して越えたいと思っての選択でした。
またも内陸に引っ込んで阿佐海岸鉄道と交差すると、その先では道路工事。

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再び線路と交差して海沿いに戻ったところにセブンイレブンがあります。
記憶にある限りだとこの先、室戸市街にもなかったので*1相当長いことコンビニのないエリアになります。
必要なものがあればここで調達しておいたほうが良いかと思います。
ただ、飲料については自販機がちょくちょくあるので夏場でもなければさほど心配はいらない印象でした。
コンビニを過ぎたところには道の駅宍喰温泉と、それに隣接してホテルもあります。
この道の駅、名前の通り温泉を併設しているのですが、もう10年以上前に一度来たことがあって、ここでお遍路さんを見かけたのがなぜか今でも記憶にあります。
当初の予定ではこのホテルに泊まろうと思っていたのですが、いろいろあってもうちょっと歩きます。

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漁港を見下ろす宍喰大橋という橋を渡ったところで国道とはいったんお別れ。
宿のあるほうへ向かうと、不思議な形の岩肌が露出しています。

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「宍喰浦の化石漣痕」という国指定天然記念物とのこと。
そこから少し行ったところにあるペンションししくいが今日の宿です。
ログハウスのほかにもコテージが数棟あるところで、プライベートビーチまで完備。
リゾート感満載の宿で遍路で行くには少々場違いだったかなと思いましたが部屋も豪華でこんな値段で泊まっていいのかと心配になるようないい宿でした。
朝食のみプランでしたが朝食が8時からとのことなのでおにぎりに振り替えてもらいました。
明日も朝は早い予定です。
夕食の調達に先ほどのセブンイレブンまで往復することになり、国道のキロポスト(?)では室戸岬まで81km~46km地点を歩いたのと朝の宿から国道までの道を合計すれば、たぶん今日は40kmを越えた距離を歩いているのではと思います。


*1:室戸市街では遍路道を外れればあるようです