オタクが歩く四国

四国八十八ヶ所歩いた記録です。構築中。

7日目(2/10) 山茶花~国民の宿うみがめ荘

朝食もおいしくいただき、7:15出発。
目の前の二十二番札所平等寺を打ちます。

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朝の境内は静かで、穏やかな雰囲気の中納経できました。
山門からまっすぐ進むのが遍路道。
市街地ではないですが住宅が点在していて、そこから通勤するのでしょうか車通りがちょこちょこと。

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薄くもやがかかっていましたがじきにそれも晴れて、少しずつ道は山道の風情を見せ始めます。
とは言っても昨日のような激しい道ではなく、車も通れる舗装路です。

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ピークと思しき場所を越え、下りながら見事な竹林を横目に見て進むと川向うに交通量の多い道路が見えてきて、やがてこの道へ合流。
恩山寺手前で別れて以来の国道55号です。
歩道がちゃんと備えられているので交通量は多いものの歩きやすいです。

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室戸まで100kmを切ったようです。
鉦打(かねうち)トンネルを過ぎたところにあったへんろ小屋で休憩。
1時間少々は歩いているようなのでちょうどいいといえばちょうどいいですが、やはり昨日のダメージがあるのでしょう。
休んでいると昨日同宿だった方が来てしばし歓談。
そうしていると今度は初日、二日目と同宿だったお遍路さんがやってきて久々の再開となりました。
宿こそ違えど同じようなペースで進んでいるようでした。
この方とはこれから先高知県を打ち終わるまでの間、ちょくちょくお会いする、長い付き合いになります。
休憩を終えて再び国道を行きます。
やがて左に分岐する道が現れますがこれは日和佐道路という自動車専用道路。
当然歩行者は入れません。
その先で、遍路道は次の札所へ向かう二通りの道に分岐します。

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県道25号に出て海沿いを歩くコースと、このまま国道を進み、山の中をぶち抜くコースがあって、距離を稼ぐ観点ではアップダウンも少なく距離も短いという国道のほうが圧倒的に有利ですが、
ここまでずっと山ばかりだったことと、もう一つ理由があって海沿いを行くことにします。
県道に入ったとたん激しいアップダウン。
なるほどこれは、と思いながら美波町に入ると、はるか遠方に海が見えます。
同時にずいぶんな山の中を歩いていることに気づかされ、さほど高いところを歩いているつもりがなかったので驚きました。
由岐の町へ向かってグネグネと下り坂を行きます。

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途中でサルと遭遇するような道です。
車が来てすぐに散らされたので襲われるようなことにはならずホッとしました。
歩いているとこんな看板が。

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アカテガニというカニがこの辺りには多く生息していて、産卵するのに海岸まで降りていくのだそうです。
その時に道路を横断することがあって、環境保護の側面からこの看板を設置しているとか。
途中、県道26号への分岐がありますが、ここは25号を行くのが正しいルートです。
急な坂を下りきると、由岐の町への入口。
県道は町の外周を通り抜けるようなのでいったんお別れして町の中へ。
昔ながらの港町という風情で、どこかのんびりした空気のただよういいところでした。

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町を抜けると目の前に海岸が現れます。

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「田井ノ浜」という海水浴場で、道路標識にも案内が出ていました。
快晴で穏やかな海を眺めながら休憩をとります。
実に気持ちのいいところ。
牟岐線の線路を渡って少し行くと駅があります。

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この海水浴場の最寄り駅となる田井ノ浜駅です。
この駅の存在は多くの旅行記で触れられていましたが、この駅が貴重な駅であることに触れている記録は見かけませんでした。
こうしてネット上に記録を残そうと思ったのもこの駅の存在が一因だったりします。
最近流行りの駅ナンバリングですが、JR四国もやっていて、この駅を通る牟岐線もMで始まる番号が順に振られています。

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これが田井ノ浜の駅名票ですが、徳島側の隣駅由岐がM18、海部側の隣駅木岐はM19となっていて、この駅には番号が振られていません。
実はこの駅、海水浴シーズンのみ営業する臨時駅なのです。
臨時駅という形態の駅が少なくなっていく中現存する貴重な駅、この話をぜひしたかったのです。
かように普段は営業していない駅なので、遍路でここから列車に乗ろうと計画してもシーズン以外は停まってくれないのでご注意を。

県道に戻って海を眺めながら進むとお隣木岐の町へ。

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町を抜けると県道は山の中をグネグネと行くようになり、ところどころ歩き用の道がショートカットを作っています。
なかなか激しいアップダウン。

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山座峠というところのようです。
峠まで登り切ると歩行者用の山道で一気に地平まで。
海沿いを少し行くと休憩所があったので休ませてもらうことにしました。

札所まではもう少しと、歩き始めます。
とにかく海がきれいで、写真を撮ってばかりでなかなか進まないほど。

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「えびす洞」という奇岩のあるところを過ぎると、前方に日和佐の町が見えてきて、山の上に立つ日和佐城の姿も目に入ります。

今日これから泊まる予定の宿の裏を通り過ぎ、日和佐の町中へ入っていくと、おばあさんに声をかけられました。
「お接待所」というのがあるようです。
コーヒーをいただきながら地元のおばあさま方と話をしました。
本来的なお接待の在りようや意義はともかくとして、遍路は休むことができ、土地の人は話し相手ができるというこのお接待所という仕組みは可能性のようなものを感じたのは確かでした。
少々長居してしまいましたが、町中までくれば札所はもうすぐ。
宿も日和佐なので時間もあまり気にする必要がありません。
川を渡り、門前町のようになっているところを通り抜けると14:14、二十三番札所薬王寺に着きました。

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厄除けにご利益があるお寺で規模も大きく、最初の日板野から乗った普通列車には初詣の案内チラシがありました。
境内の一番高いところにある瑜祇󠄀塔(ゆぎとう)は特にお寺のシンボルとして名高いものです。

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遍路界隈では阿波国(徳島県)を「発心の道場」、土佐国(高知県)を「修行の道場」、伊予国(愛媛県)を「菩提の道場」、讃岐国(香川県)を「涅槃の道場」と呼びますが、これで発心の道場を打ち終えたことになります。
少し早い時間ですが今日はここまで。
1キロぐらい戻ることになりますが今日の宿へ向かいます。
その前に、日和佐の駅前にある大きな道の駅でおやつの買い物。
しゃれた外観の日和佐駅を拝んで来た道を戻り、大浜海岸という海岸へ。

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ここはうみがめの産卵地だそうで、すぐそばにはうみがめ博物館というのもあります。
この海岸沿いにあるのが今日の宿、国民の宿うみがめ荘。
ネット予約ができたのでここにしました。

「国民の宿」とは大きく出たものですが、国民宿舎という制度の名残だそう。
控えめに言って味のある外観でしたが、中はさらに味のある建物。
Wi-fiが使えるのが何かの間違いのような気がしてくるようなところでしたがお風呂は大浴場(朝風呂も可)、ごはんもおいしいとあって悪くはなかったです。
国民宿舎というのは遍路についての情報収集をしているときに初めて目にした単語で、調べてみるとあちこちにあるようなのですが見たことがありませんでした。
四国にはほかにも何件かあるようです。
ともあれこれで発心の道場打ち終わり、明日は高知県へ向かって進むことになります。