オタクが歩く四国

四国八十八ヶ所歩いた記録です。構築中。

4日目(2/7) 植村旅館~東横イン徳島駅眉山口

7時15分ごろ宿を出発。
朝食もおいしかったです。

宿の前の県道をずっと行くほうが楽らしいのですが、道しるべに従って県道から離れて鮎喰川を渡るルートを行きました。
農村集落の風景が続きます。
f:id:j_imu:20160611174709j:plain

予報は悪くなかったはずなのですが、雪がちらりほらり。

前方に見えてきた看板に「右側に吠える犬がいるので注意」とありましたが看板が視界に入ったあたりではそんな様子がなかったので油断していました。
看板の前で右を向くと目の前に犬。
吠えたてられましたが襲われるようなことはなくよかったです。
やがて道は登りに。
その後すぐに下りに転じますが、「駒坂峠」という名前がついているようです。
再度川を渡って県道に合流しますが、その手前には細い潜水橋。

f:id:j_imu:20160611175000j:plain

県道に出たらしばらくは道なりに。
とにかく川がきれいで、山の空気も味わいながらの気持ちのいい歩きです。
広野郵便局まで来たところで対岸に渡り、ここからは県道21号へ。

f:id:j_imu:20160611175221j:plain

アップダウンはありますが、少しずつ川幅が広くなっている気がします。
途中で固まって歩いている一団とすれ違い。
焼山寺へ向かうのでしょうか。
ここまでくると雪がはっきりと降ってきていて、すだち館に泊まった人たちは無事玉が峠を越えられたかしらと心配というかなんというか、そんな気持ちになります。
「二本木」というバス停まで来ると徳島市との境界。

f:id:j_imu:20160611175331j:plain

4日目にして県都に入りました。
徳島市に入ったからといっていきなり景色が変化するかというとそういうわけでもないのですが、それでも少しずつ家が増えて来たように見えます。
レインウェアを出そうかどうか思案しているとピタッと雪がやみました。
しばらくはこんな降ったりやんだりの天気でしたが、レインウェアの出番はないまま済んだのでよかったです。
県道に沿って建っているのが十三番札所大日寺(ちょっとピンぼけしてますが)。

f:id:j_imu:20160611175800j:plain

4番札所と同じ名称で、この先もう一か所同じ名前の寺があります。
9:42到着。
気が付けば2.5時間も歩き通しだったことになりますが、休むのは納経が済んでから。
山門から県道を挟んだ向かい側には阿波一宮神社があり、大日寺はここの別当寺(神社を管理する役職者を置いていた寺)にあたります。
寺のわき道に入って県道から分かれ、田園風景の中を少し歩くと三度鮎喰川を渡ります。

f:id:j_imu:20160611175947j:plain

道しるべが充実しており、迷うこともなく十四番札所常楽寺には10:36の到着。

f:id:j_imu:20160611180051j:plain

岩盤の上に境内があるお寺で、地面が独特な様相を示しています。
それ以上に印象的だったのが猫。
とにかく境内猫だらけで、大師堂で読経しようと納札を取り出しつつ納札入れを見ると中で猫が寝息を立てていました。
風が強く結構冷える日だったので、風を通さない金属製の箱の中、紙がふんわりと重なった納札入れの中は猫にとってはよい寝床だったのでしょう。
納経所の建物へ入ろうと自動ドアを開けると猫が一緒に入ってきてしまう始末。
納経所の方、「大丈夫ですよ」とは言っておられましたが・・・
常楽寺から次の札所は1kmにも満たない距離。
常楽寺の建つ岩盤の周りをぐるりと行くような感じで十五番札所国分寺には11:16の到着。

f:id:j_imu:20160611180319j:plain

中学校の歴史の教科書にも出てきましたが国分寺は聖武天皇が建てさせたお寺で、国ごとに存在していました。
四国も例外でなく、各国に国分寺があり、いずれも札所になっています。

f:id:j_imu:20160611180451j:plain

片側一車線ですがバイパスでも建てるのか、中央部にやたら空間をとってある国道192号線を渡り、住宅街の中を進むと16番札所観音寺。

f:id:j_imu:20160611180608j:plain

県道に面していて、山門の迫力とちんまりとした境内の様子が印象的です。
12:08の到着。
もうお昼を回った時間でおなかがすいてきました。
札所にはベンチを置いてくださっていることが多いのですが、前述のとおり境内が小さいためかここにはありません。
ザックの中にパンがあるので座る場所さえあればという状態だったのですが、次の札所を目指して進んでいきます。
幸い、次の札所までの距離は2.8kmとさほど遠くありません。
この辺りは徳島線の府中駅*1の近くで、細い道に車通りが多く、いささか歩きにくいところ。
道しるべを見失わないように気を付けながら歩くと、2日ぶりの徳島線の線路。

f:id:j_imu:20160611180820j:plain

踏切を越えてしばらく進んだところに17番札所井戸寺があります。

f:id:j_imu:20160611181005j:plain

弘法大師が錫杖をで突いたところから湧水が出るようになったといういわれがあり、それが寺名の由来となったようです。
もともと阿波の国の国司が置かれていたところで規模の大きい寺だったといい、今でも境内は広いです。
広いだけに見どころもいろいろあるようでしたが、ほとんどスルーしていました。
四国霊場自体は1200年の歴史があるといわれ、お寺お寺で見どころがあるのですが、それぞれをつぶさに見ている精神的な余裕がまったくありませんでした。
是非はともかく観光しながら回るというお遍路さんもいるようですが、正直すごいなと思います。
その精神的余裕はどうやったら身につくのか、遠い世界の人のような気さえしました。
ただ、境内の景色だけはこれを書いている今の時点ではどこもはっきり思い出せます。

念願のベンチでパンをもしゃもしゃとかじって昼食とし、出発。
次の札所までは16.8kmあり、今日中に着くことはできません。
徳島市街を通ることになるので、今日の宿は徳島にとってあります。
遍路道としては徳島市街地を通らず眉山の裏側(?)を抜けるルートも存在し、高知や松山では遍路道が中心街を避けるようになっているということを考えると、ここ徳島の遍路道も地蔵越えといわれる眉山の裏側を経由するほうが本来の道なのかもしれません。
県道30号線に出ると、そこはまさにロードサイドの光景。
ずいぶん久しぶりに都市らしいところに出たような気がします。
またも鮎喰川を渡るとその先が徳島市街の入り口となるようです。

f:id:j_imu:20160611181246j:plain

県道1号線との交差点から見えた看板が衝撃的でした。

f:id:j_imu:20160611181351j:plain

板野といえばちょうど3番札所の辺り。
4日かけて歩いてきた道が10キロもないとは・・・
クラクラくるものがありましたが引き続き徳島駅のほうへ歩いていきます。
さすがに昨日のダメージがあるのか、疲労感も結構なもの。
徳島駅を遠巻きに眺め、眉山のほうへ行くと今日の宿東横イン徳島眉山口。
チェックインの16時には少し早かったですが入れてもらえました。
普通のビジネスホテルですがこういうところが一番落ち着くなあとこれまでの行程で痛感しています。
「遍路は遍路宿に泊まるべき」という考えもあるようですが、この辺はもう感覚の問題ではないかと思います。
ホテルに連泊して荷物を置いていき、歩きの開始地点までと終了地点からは公共交通機関を利用する、という手段をとる人もいます。
もし私に次があるなら、この方法をとるかなあと思います。
いい宿であっても、私は完全なる個室でないというのはどうにもストレスになるタイプの人間だったようです。
上記のような方法について、「これは通し打ちとは呼ばない」という人もこれまた一部にはあるようですが、およそ四国の懐の広さとまったく逆の狭量な考えだと私は思います。
なんというか他人が満足していることに水をぶっかけて回るのが楽しくてたまらない人が世間には存在するようです。

眉山の登り口がすぐ近くで、その麓には阿波踊り会館もあるので観光地ではあるのですが、とても出かける気になれず、おやつを買いに出たのと夕飯を買いに出たの以外は部屋でぐったり。
インターネットが自由にできるのもうれしい。
遍路中は酒断ちを決めていたので夕食はデパートで買った惣菜とコンビニ弁当になりました。
ずいぶん久しぶりだと感じる一人の食事は、私にとっては大いに安らぐものでした。



*1:「ふちゅう」ではなく「こう」と読みます