オタクが歩く四国

四国八十八ヶ所歩いた記録です。構築中。

1日目(2/4) 東横イン高松兵庫町~安楽寺宿坊

2/4木曜日。
いよいよ始まります。
まずは一番札所の最寄り駅である高徳線の板東駅へ向かう・・・その前に、朝食をとるために香川県庁方面、マイフェイバリットうどん屋であるさか枝へ。

さか枝 (さかえだ) - 栗林公園/うどん [食べログ]

最初の日の朝食は絶対にここにしようと決めていました。
うまいうどん屋はほかにもたくさんあるのですが、アクセスが良いのとこの店の日常感みたいなものが好きで、初めて食べた時以来、高松に来るとほぼ必ず寄っている店です。
そして、来月また、歩いて食べに来るという約束というか宣誓というか、そういうものを自分の中でします。

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宿に戻って荷物を持ち、高松駅へ。
8:23発の徳島行き特急うずしお3号を待ちます。
前日、指定席が空いてればと当たってみたのですが窓側はいっぱいという状態だったので自由席を確保するために早めに行きました。

高松止まりのうずしお4号がこれから乗る列車に化けるのですが、やってきた列車は5両編成。

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デッキに立っている人もいるぐらいの混雑で、さすがは県庁所在地と唸りましたが、徳島行きになるのはこのうち2両だけ。

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完全に通勤の足になっているようです。
やってきた列車とはうってかわってほどほどに人が乗っている感じで高松を発車。
栗林、屋島、志度、三本松とこまめに停車しますが乗客の入れ替わりはほとんどなく、阿讃山脈を越えて下車駅の板野に到着。
板東は普通列車しか停まらない駅なので、ここで普通列車に乗り換えです。
9:45、板東駅に到着。
下車客は私一人でした。
駅を出ると道路に緑のラインが引いてあって、これに沿って行くと一番札所にたどり着くらしいので早速出発。

途中で「お参りかい?」とおじさんに声をかけられ、「お茶飲んでいきな」と招かれました。
四国には「お接待」という、遍路に茶菓や休憩所を提供する風習があって、
・巡礼者に代参を頼むという信心の仮託
・弱者である遍路への施し(喜捨)
といった意味があると言われています。
現代においては歩き遍路はお金のかかるものということを考えれば、前者の意味合いが強いのではと思います。
話には聞いていましたがいきなり遭遇するとは思ってもみず、驚きながらお呼ばれしました。
2月に遍路に出る人は少ないようですが、3月になるといきなり増えるもので、列車が来るたびに数人が一番札所に向かっていくのだといいます。
すっかり話し込んでしまい、気がつけば結構な時間。
再び緑のラインをたどっていきます。

県道を渡って一番札所、霊山寺(りょうぜんじ)に着いたのは10:35。

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いよいよ始まりです。
たどたどしい手つきで納札と賽銭を入れ、これまたたどたどしく読経。
大師堂でもおなじようにして納経所へ。
ここの納経所は本堂にくっついていて、中では各種遍路用品も売っていました。
納経料を払って納経帳に印をいただき、納経帳が返されるのと一緒に紙が2枚渡されます。
一つは「御影(みえ)」、あるいは「お姿」と言われるもので、これは本尊の絵姿を描いた札。
もう一つはうるう年の記念散華というものです。

散華というのは法要で使われる蓮の花びらをかたどった紙で、紙には札所の本尊を表す梵字が書かれており、こちらは今年限定のものの様子。
ここの納経所には、歩き遍路が名前を書くノートがあります。
納経を済ませた後出発日とともに書き込み、山門を出て門前にある売店へ。
笠と杖を買い、それっぽい恰好になったところで出発。
ところが菅笠のあごひもを補助する器具がどうにもうまく笠に接続できず、仕方ないのであごひもを結びましたがこれがどうにも心もとない上に風が強く、飛ばされやしないかとはらはらしながら進むことに。
器具がちゃんと使えるようになったのはしばらくたってからでした。
二番札所へはわずか1.4キロで、しかも門前を横切る県道に沿って行けばいいので分かりやすいです。
少し行くと板東谷川という川を橋で渡るのですが、橋の上では杖を持って進みます。

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遍路は橋の上で杖をついてはいけないというしきたりがあります。
これは、弘法大師が四国を歩いているとき、町で一晩の宿を借りようとしたが断られ橋の下で休むことになってしまい、あまりの寒さに一夜が十夜にも感じられたという伝説に因むもので、橋の下で休んでいるお大師様を起こしてはならぬということからできたしきたりなのだといいます。
二番札所極楽寺には11:41の到着。

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尚、一部の札所において境内の写真をWebにアップロードすることを禁止しているところがあるので、基本的にはすべてのお寺で山門だけを掲載することにします。
お堂の写真はきれいなのがそこらじゅうにあるので、それを参照ください。
山門は平地ですが、本堂へは階段を上ることになります。

納経を終えて出発。
ここからは県道を離れ、駐車場の脇から延びる細い道へ入ります。
墓地の中を抜けるなかなかすごい道で、その先は生活道路に合流。
板野町に入り進んでいくと「金泉寺150m」の道しるべが。

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道しるべの差す方向はこんな感じで石畳はあるものの「行っていいのか」みたいなところ。
今にして思えばこれは割と序の口レベルではあったのですが。
この道を行くと三番札所金泉寺の境内に直接たどり着きます。
山門をスルーしてしまうのでそこにこだわるのであれば車道を行ったほうがよさそう。
山門を通ってないので正確な時刻ではないですが、12:40過ぎの到着でした。

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次の札所へは山門を出て進むことになります。
道は再び生活道路ですが、少し車通りがあるところで、注意しながら進まないといけません。
家並みが続きますがその中に商店がちらほら。
この辺りは先ほど通った板野駅の近くで、道はやがて高徳線と踏切で交わります。

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何か写り込んじゃってますが気にしないでいただけると。

大きなクスの木が植わっている岡上神社を過ぎ、家並みが途切れると徳島自動車道をくぐります。
その先、道しるべとともに看板が。

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道しるべの差す方向はこんな道。

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恐る恐る進んでいくと道は山道の風情に。
三番札所の奥の院である愛染院の境内を抜けると(これまた通り抜けていいものなのかと少し困ってしまいましたが)、アップダウンこそないものの本格的に山道っぽくなります。

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次の札所は山の中腹に建てられています。

町中だと電柱やカーブミラーに道しるべのシールが貼られていますが、山道ではこんな札が木の枝にかけられています。

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場所によっては丁石という、昔ながらの道しるべが残っているところもありますが、100%残っているわけではないので実用性というよりは歴史的な価値が大きいように思いました。

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「四國第四番是ヨリ十七丁」とあります。

一丁は約109メートル。


やがて車道に合流し、登っていくと見えてくるのが四番札所大日寺。
14:25着。
ここで初めてバスツアーの遍路に遭遇しました。

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現代におけるお遍路の最大勢力がこのバスツアーで、納経所はバスツアー対応となるとひたすら書き続けるので大変そうです。
インターネット上の記録を見ると大体どこかしらで団体に困らされているような様子がありましたが、バス1台程度だったためかここではそれほどひどい目には会わずに済みました。

ここから次の札所へは来た道を引き返します。
登った分降りる格好になりますが、大した標高でもないし傾斜もゆるく、舗装もされているので歩きやすい道です。
徳島自動車道とまたも交差し、まっすぐ南下していくとやがて五百羅漢の前に出ます。
雰囲気がそれっぽいので一瞬札所と勘違いしそうになりますがこれは五番札所の奥の院で、五番札所の地蔵寺は奥の院からさらに下ったところにあり、15:27着。

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納経を済ませて出発すると時刻はもう16時。
17時には宿に入るというのが遍路界隈では一般的らしく、宿に向かって少し速度を上げ気味にします。
17時というのは札所の納経所が閉まる時刻でもあります。

上板町に入りしばらく行くと、こんな休憩所があります。

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遍路小屋というもので、各地にこうした施設を作るというプロジェクトの産物だそうです。

四国八十八ヶ所へんろ小屋プロジェクト【札所0番】

ここは第44号、神宅です。


休憩がいる状況でもないので見るだけで通過し、昼間少し歩いた県道12号を渡ります。
渡った先でものすごい勢いで犬に吠えられました。

思い返してもここに限らず道中吠える犬は多く、中には放し飼いになっているところも。
犬が苦手な身としては結構おっかない思いをしました。

16:50、六番札所安楽寺到着。

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納経は明日に回すことにします。

今日の宿はここ安楽寺。
四国に限らず、お寺には「宿坊」という宿泊施設を持っているところがあります。
ここ安楽寺は位置的に初日の宿とするにもちょうどよく、山号を温泉山というように温泉まで湧いているというすごいところ。

宿坊に泊まるとお勤めといって読経に参加できたり(これは義務のところも)、場所によっては写経の体験ができたりもするようです。
しかしこの日は住職不在ということでお勤めはなし。
代わりにお寺の中を案内していただくことに。
宿坊に泊まらないと見ることができないものも多く、いい経験になりました。
ただ、宿坊というのは儲からないのか宿坊に泊まったという記録をインターネット上で見つけてもすでに営業していないというところもちょくちょくあります。
建物がそのまま残っているところもあるのでなんとも言えない気持ちにはなりました。

寺内を見学した後は夕食。
宿坊というと精進料理のイメージですがここでは普通にお魚が出ました。
エビカツというハイカラなメニューまで。
この日の同宿者は私を含めて3人。
翌日も同じ宿で出会うことになります。

食事を終えても18:30前。
普段なら働いている時刻です。
最初のうちは違和感だらけでしたが日数を経ると当たり前のようになっていきました。

一番札所からここまでの距離は16.3km。
距離としては短いですが、納経というのは時間のかかるもので思ったよりもスピードは遅かったです。

入浴後、テレビを見ながらもろもろ記録したり納札を書いたりして就寝。