オタクが歩く四国

四国八十八ヶ所歩いた記録です。構築中。

36日目(3/10) ながお路~結願

7:00過ぎに宿を出ました。
荷物は概ね乾いたので良しとします。
雨は上がっていますが完全に曇りの天気で、晴天の中での結願、とはいかなさそう。
88番へ向かう前に、すぐ近くにあることでん長尾線の長尾駅を見に行くことにしました。

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長尾線はもともとここ長尾寺の参拝客輸送のためにできた路線だといいます。
今の駅は平日朝とあって完全に通勤輸送体制。
その後コンビニに立ち寄って買い物をし、結願へ向けて本格的に出発。

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志度から歩いてきた県道3号線を引き続き進み、やがて長尾の町を抜けます。
途中で綾川町方面への分岐がありますが、ここは県道3号にしたがって左折。

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少しずつ登り始めます。
やがて前方にダムが見えてきました。

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これが前山ダムで、このあたりから傾斜が少しきつくなって、ダムの上の高さまで登ります。

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ここで県道から分岐してダムの上を通りぬけるルートが88番へのルートの一つ。
女体山という山を越え、88番札所の境内に抜けるという道ですが、最後の試練とばかりにきつい道だとか。
ながお路の女将さんいわく「昨日の雨では道中滑るからやめておいたほうがいい」とのことで、ここは忠告に従うことにします。
ここまで来てけがをするというのも笑えませんし、一つ見ておきたいものがあって、それはこのルートでは見られません。
女体山ルートへの分岐を過ぎると道はカーブして、道の左手に「前山おへんろ交流サロン」というものが。

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ここは遍路関連の品々を所蔵する博物館で、さらに歩きと自転車でここまで回ってきたお遍路さんには特典があって、「四国八十八ヶ所遍路大使任命書」という賞状にピンバッジと88番札所の画像が納められているDVDが頂けます。
結願まではちょっとありますが、前祝いのようなものでしょうか。
ここで展示されている品物もなかなか興味深いもので、じっくり見ていたらだいぶ時間を使ってしまい、気がつけば9時を回っています。
急がなければならないというわけでもないですが、さりとて時間が余るようなスケジュールでもありません。
このサロンの手前で旧遍路道と県道ルートが分岐していますが、引き続き県道を歩くことに。

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女体山ルートはハードかつポピュラーなルートのようですが、これは実際には昔ながらの遍路道ではなく、札所の境内に出てしまうというのもその辺によるものなのでしょう。
道の駅ながおの前を過ぎると歩道は消失。
カーブが多く傾斜も結構きつい中をでかいトラックが行き交う道で結構怖いです。

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しばらく歩いたところに「遍路道中物故者供養碑」というのがあって、「同行二人」の地図にも掲載されています。
わざわざ掲載しているということは立ち寄って欲しい、ということなのかなと解釈してルート選択の時に県道ルートを選ぶ決め手になりました。
モノとしては普通の石碑ですが、命がけの旅だった時代があるということを感じさせるもので、ここまで来て手を合わせずに通過などできません。
この辺りには「昼寝城」という変わった名前の城跡があるそうで、案内板が出ています。
88番まで5kmの道標が出てくると県道3号とはお別れ。

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ここからは国道377号線を白鳥方面に入ります。
ここまで来ると車通りは一段落。
時間的なものもあったのかもしれませんが、静かな山中を歩いていきます。
所々に札所までの距離を示す丁石も。

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やがて、国道から外れる道標が出現。

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ここまで遍路道を避けてきたという後ろめたさも手伝って、最後ぐらいは遍路道を行くのもよかろうとそちらへ入ります。
最初のほうこそ家の並ぶ道でしたが、やがて土の道に入ると道幅が狭かったりイノシシよけに扉が設置してあるどう見てもひとんちの畑というところだったり竹林の中、雑に道標が貼ってあってどこが道なのかわからないようなところを通ったりと、「これぞ遍路道」という雰囲気を満喫しました。

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車道に合流すると札所はもうすぐ。

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88番に着くというのに気持ちは思ったほど盛り上がってきませんでしたが、山門が見えた瞬間、「着いた」と思わず声が出ました。

ここでようやく気持ちのほうが追いついてきたようでした。

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11:47、八十八番札所大窪寺に到着。

この山門から入ると最初に出てくるのは大師堂なので一旦前を失礼し、本堂の方へ。

もうこの時点ですでにうるっと来ていたのですが、いざ本堂で読経を始めようとすると涙で経本は見えないわ鼻声で声が出ないわで散々。
落ち着くのに時間を要しました。
道中のいろいろなことが思い出され、最後の合掌礼拝はだいぶ長いことしていたように思います。
大師堂ではなんとかそのまま読経することができました。
大師堂の横に、「宝杖堂」という、ここまで来たお遍路さんが杖を奉納するお堂があります。
また、ここの納経所では「結願証」という賞状を書いてもらうことができます。
数日前に泊まった民宿岡田のご主人が「遍路の卒業証書」と称していて、なるほどと思い作ってもらうことに。

卒業証書らしく、賞状を入れる筒もそれっぽいやつでした。
これで結願所とも呼ばれる大窪寺ですべきことはおしまい。

 

ではあるのですが、この旅はもう少し続くのです。