オタクが歩く四国

四国八十八ヶ所歩いた記録です。構築中。

32日目(3/6) 民宿岡田~本大ビジネスホテル

朝食は6:30から。
食事を終えると宿泊していたお遍路さんは逆打ちの人もいるので全員が66番を目指すわけではなく、三々五々出発していきます。

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私も7:00ちょっと前に出発。
家の並ぶ中を10分も行かないうちに登り口への分岐点、そこから少し行ったところから早速山登りが始まります。

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写真右側の坂を登るのが進路で、相変わらず通っていいのか心配になる道ですが道標もちゃんと出ているので行っていいのでしょう。
徳島自動車道の下をくぐって更に登ると高速を見下ろす位置に。

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思えば1番から10番の辺りまではこの道路と並走していたわけで、そこにつながっている道だと考えると戻ってきつつあるのだなあと感じます。
この辺りで舗装が途切れ、本格的に山登りへ突入。

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同宿の方が何人も歩いているはずですが、特に遭遇しません。
じっくりじっくり登っていきます。
昨日の宿入りが早かったおかげもあって足の方は概ね問題なし。
1時間も歩くと空が開け、車道に合流します。

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昨日通った境目トンネル手前の分岐から入って行くと曼陀峠という峠を越えてここに至るそうで、傾斜はこちらのルートのほうがゆるいそうな。

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遠くに鉄塔が見え、札所はその近くということでまだまだ標高は低く、舗装路とはいえ上りが続きます。
やがて舗装が綺麗になるとどうやら寺領に入ったらしく、札所まではもうすぐ。
六十六番札所雲辺寺には8:51の到着、宿から2時間を多少切ったぐらいの所要時間でした。

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岡田のご主人が言うには「速い人で2時間だが、こう言うとそれを切ろうとする人が絶対に出る」とのことで、時計を見ながら進んできてまさに乗せられてしまった感はあります。
さて、昨日から難所だ難所だと言ってきましたが、ここは全札所中標高が最も高い910mという場所。
岡田の辺りの標高が250mぐらいのようなので、700m弱の標高差を登ってきたことになります。
まあ、上下を含めれば焼山寺や鶴林寺太龍寺、横峰寺といった難所もハードさとしては変わらないような気もしますが、それでも最高所というのはやはり特別な印象があります。
そんなお寺につけられた名前が雲の辺の寺とは随分と風雅で、個人的にはとても好ましいネーミングだと思いました。
納経を済ませてゆっくりしていると岡田で一緒だった人たちが追いついてきます。
挨拶だけして一足先に下山ルートへ。
ここ雲辺寺は完全に山の上のお寺で、車道は相当細い道しかありません。
そこで、麓から立派なロープウェイが伸びてきていて、ロープウェイの山上駅は雲辺寺へのアクセスと同時にスキー場へのアクセスも担っているようです。
この標高なので、それは雪も降るというものなのでしょう。
寺内は凍結防止ということでトイレが使えなかったのでロープウェイの駅でお借りして改めて下山ルートへ。
ロープウェイ駅の周辺と下山ルートの入口辺りまでの区間には五百羅漢像が並んでいます。

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リアルというか濃いというか、少々異様な雰囲気でした。
今度は地平近くまで一気に降りる道なので、登り以上に標高差のある山道となります。
傾斜も急ですがとにかく長い。

ところどころ眺望のきく個所もありますが、ガスっていていまいち。

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たっぷり1時間30分程度下りに要したようです。
明確な県境を通らないままでしたがここはすでに香川県で、三豊市というところ。

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うどんを茹でるのに使われると揶揄されますが香川県というのはとにかく水の少ないところで、溜池がそこら中に存在します。

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そんな中を進み、ちょっとした丘を超えると六十七番札所大興寺。
山号を小松尾山と称し、小松尾寺とも呼ばれるようです。
12:17着。

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山門を入ると立派な木々が迎えてくれ、石段を登った先に本堂と大師堂が。
四国の札所は基本的に真言宗ですが、ここのお寺は天台宗のお寺でもあったという歴史があるそうで、弘法大師を祀った大師堂の他、天台宗の第三祖という智顗(ちぎ)大師を祀った天台大師堂があり、本堂を挟んで3つのお堂が並ぶというバランスの良い形をしています。
駐車場にはバスが数台止まっていて、心配になりながら石段を登ると案の定、境内もえらいことになっていて、落ち着いて読経できる状況ではありません。
どうにかこうにか納経を済ませ、ベンチでお昼ごはん。
岡田で持たせてくださったおにぎりが今日の昼食です。
食事をしていると団体は徐々に引き上げていき、境内はいくらか静かになりました。
次の札所へ出発、最初は畑の並ぶ中を行きますが、だんだん家が増えてきます。
やがて観音寺市へ。

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前方に見えてきたのは高松自動車道。

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四国山地を挟んで東西に伸びる高速道路2つを一日で交差するというのはなかなかおもしろいもの。
高松自動車道の下をくぐり、昨日ぶりの国道11号にぶつかったところにマルナカ(スーパー)があったのでライターを調達します。
雲辺寺では風が強いせいだと思っていたのですが大興寺でもライターの調子が悪く、燃料は残っていそうなのになあと思いながらどこかで調達しようと考えていました。
次の札所から先では問題なく使えたので、完全に無駄になってしまったのですが。

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国道を渡ると少しずつ町中の雰囲気で、小僧寿し本部やらさぬきうどんで包んだ餃子やら気になる看板を見つつやがて予讃線の踏切を渡ります。

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このすぐ近くが観音寺駅で、ここは予讃線の運行上重要なところ。
高松からの普通列車の多くはここまでとなり、松山方面へは乗り換えが必要になるほか、本数も少なくなります。
個人的には一番、高松が見えた瞬間でした。
札所へ向けては第68、69代の内閣総理大臣を務めた大平正芳の選挙事務所を使ったという大平正芳記念館*1の前を通り、財田川にかかる三架橋という橋を渡っていきます。

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橋を過ぎたところにある立派な神社は琴弾八幡宮。
それを横目に見て道標に従い細い道を行くと、六十九番札所、観音寺の山門です。

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14:52の到着。
68番を抜かしていないか、と思われた方もいるかもしれませんが、ちゃんとご説明します。
もともと68番札所は先ほど通った琴弾八幡宮だったそうなのですが、例によって神仏分離令の煽りで琴弾八幡宮とその神宮寺だった神恵院(じんねいん)という寺に分離されました。
神恵院はここ、観音寺の境内に移動してきて、一つの山門に2つのお寺が同居するという形式になったのだといいます。
そんなわけで、六十八番札所神恵院にも14:52の到着。
神恵院の本堂は最近になって改築されたらしく随分とモダンな雰囲気。
それぞれの本堂と大師堂で読経して納経所へ。
納経所は一箇所にまとまっていて、2札所分を一回の手続きで済ませてくれます。

そういえばここまでの道中、焼き餅が名物というお菓子屋さんがあると聞いていて、それは食べてみたいと思っていたのですが気づかずスルーしてしまったようです。

これは宿題にしなければならないでしょう。

少々休憩して出発すると、すでに15:30を回っています。
できれば次の札所を打って、その近くにとってある宿に入りたいなと少しペースを上げて門前を歩き始めると、岡田で一緒だった方とすれ違いました。
岡田で同宿だった方々と会ったのはここが最後で、また一人になります。

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今度は川向うに雲辺寺山を見ながら財田川沿いを上流に向けて歩いていきますが、困ったことにポツポツと来てしまいました。
雨具を出すほどではないですが微妙に不快感が伴います。

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境界ははっきりしませんでしたが再び三豊市に入り予讃線の下をくぐると、前方にでっかい塔が(写真だと小さいですが)。

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どうやらあれが次の札所の模様。
七十番札所本山寺(もとやまじ)には16:31の到着。

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この時間ともなると団体はおらず、静かで落ち着いた雰囲気の良いお寺です。
塔の方は修繕中のようで、下から見るとでかいですが足場が残念。
鎌倉時代の建築という本堂は国宝にもなっていて、さすがの雰囲気でした。
お寺のすぐそばを国道11号が通っていて、次の札所へ向けては国道を高松方面に進むのですが、反対方向に歩いて財田川を渡り、観音寺市に戻ります。
国道沿いの本大(もとだい)という交差点近くにある本大ビジネスホテルが今日の宿。
行ってみて分かりましたがこれは確実に元アパート。

ですが設備としては申し分なく、元が元だけにかえって静かなぐらいかもしれません。
料金もお安くとても助かりました。
これでネット環境があればと思わなくはなかったですが、それは求め過ぎというものでしょう。
買い物環境としてもスーパーやコンビニが至近、ココイチや大阪王将といったレストランもあります。
普段ならスーパーで惣菜類を買い込んで夕食とするところですが、なんとなく大阪王将へ足が向き、四国で唯一、夕食を外食とした日となりました。
テレビのチャンネルも香川になり、最後の一県という感覚を後押ししてきます。

*1:2015年に閉館しましたが、リニューアルして再オープンするそうです