オタクが歩く四国

四国八十八ヶ所歩いた記録です。構築中。

29日目(3/3) ホテルバリ・イン~ビジネス旅館小松

6時を少し回ったところで宿を出発。
空はちょっとずつ明るくなってきていますがまだちょっと暗いです。

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昨日のうちに国分寺を打てたので札所方面へは向かわず国道196号を東へ進んでいきます。

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歩道を歩いているとこんな看板がありましたが、厄介なことに近い横断歩道は看板の設置地点よりだいぶ手前。
こういうのは横断歩道のあるところに設置しておいてほしいものです。

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ちょっとした山を越え、その勢いで高さを保ったまま予讃線もまたぎます。
その先で国分寺の前を通る道から続く県道38号線と合流、しばらく行くと道の駅今治湯ノ浦温泉。

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ここはごはんが美味しいと聞きますが当然のことながら営業開始前。
名前の通りこの辺りは湯ノ浦温泉という温泉地で宿も何件かあります。
昨日のペースだとこの辺りで泊まれるとよかったのですがいずれも結構なお値段。
お遍路さん価格があるとかないとか聞きますが、それでもだいぶ予算オーバーです。
節約をするつもりはないですが、贅沢をしてしまっては宿から出たくなくなりそうだし早立ちするのももったいないしで避けていました。
7:43、西条市に入ります。

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やがて海が見えてきました。
穏やかな瀬戸内海はやはり美しいもの。

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海沿いを行けるのはこの辺りまでで、この先海の近くではあっても海が見えないというところを歩いていきます。
田んぼがあって遠くに四国山脈が見える景色が続いて、なんとなく実家の近くの景色を思い出しました。

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気になるお店ですが当然営業時間前。
やがて壬生川(にゅうがわ)の街に入っていきます。

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東予港への標識が出ていて、そういえば東予市というのがあったなと思い後で調べてみると、今いる壬生川のあたりが東予市の中心だったところで、西条市に吸収合併されたということのようです。
やがて前方に山が見えてきます。

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中山川という川を渡ると、国道196号線の終点、小松。
国道11号線との交差点が終点になります。

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到着はちょうど10時頃、宿からだいたい20kmの地点でなかなかのペースでした。
出発前にリポビタンDスーパーでドーピングしているのですが。
この交差点からしばらく行くと61番札所。
門前まで来ましたが参拝はせず、山門の横にある細い道に入っていきます。
道はやがて登り始め、大きな溜池を眺めて松山自動車道の下をくぐり、いよいよ山の景色になってきたところにあった東屋で休憩。

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ここまで腰を下ろしての休憩はありませんでした。
進行方向に目をやれば61番札所の奥の院である白瀧。
名前の通り滝があって、滝行のできるところだそうです。

「同行二人」の解説編曰く心得のない人が滝行をするのは良くないものを寄せ付けるので危険とのことではあります。
白瀧から分岐する上り道が60番への道。
他の方の記録や同行二人の地図を見ると、60番への道は今歩いている道とだいぶ様相が異なります。
この道はこの道で遍路道なのですが、60番への上りの遍路道はここではなく、先ほど歩いていた壬生川の辺りから旧丹原町の方へ抜け、そちらから登り始めるルートが正しいようです。
なぜ今こちらを歩いているかというと、一つは高知県最後の夜出会ったお遍路さんが丹原町経由は遠回りであると言っていたこと、
そしてもう一つ、というよりこれが理由の9割ぐらいなのですが、同行二人の地図にこんな記載があります。

平成20年1月現在、上流5橋は完成しており、通行可能であるが雨天の際は水量が急増し溢水の急・激流で危険大。通行不能となることがある。

四国遍路ひとり歩き同行二人地図編第10版p.65より

今日は気持ちよく晴れたいい天気ですが、昨日出会った自転車のお遍路さんが60番は雪があったと言っていて、60番へ登るバスも積雪のため途中までしか運行しなかったのだとか。
万一雪解け水などあって増水していれば登れなくなるかもしれませんし、登山口まで行って登れないというのでは行程が完全に狂ってしまいます。
この先数日間は宿の予約が済んでいる身としてはこれはなんとしても避けねばなりません。
予約しなければいいのですがあいにくそういうことのできない性分です。
そんなわけで、確実性のあるルートをということで通常下山道として使われる道を往復することにしたのでした。
やがて舗装路も途切れ、完全に山道に。
ゆっくり一歩ずつ歩きます。
あいにくビューポイントはあまりないところで残念。

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尾根に出ると、四国山脈の山々がとても綺麗に見えます。

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一旦長い下りを経て、また登りに。
道中には廃道と思しき道もあったりして面白いところです。

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しんどいにはしんどいですが、同時に楽しさも感じられました。
ずいぶん感覚も変わったものです。

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車道に合流して少し行くとまた歩きの道は分岐。
残雪がちらほら目につくようになってきました。
13:19、六十番札所横峰寺に到着。

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下山道から登ってきた格好になるので山門は納経を終えてから拝むことに。
到着した時、本堂に積もっていた雪がちょうど滑り落ちていきました。
すごい音がします。
納経所で聞いてみると数日前に降った雪が残っているのだとか。
おそらく松山で雪に降られた日、ここではもっと盛大に降ったのでしょう。
ここは西日本最高峰である石槌山に連なる山中で、冬期は納経所も短縮営業になります。
石鎚山は空海の修行地でもあり、修験道の聖地の一つ。
ここ横峰寺にはその石槌山を遥拝できる星が森というところがあって、天気も良いので行ってみればよかったのを完全にすっぽかしてしまいました。
遍路中の数少ない後悔です。
ご飯を食べて下山のエネルギーを補給、水分を・・・と思ったら凍結するのか境内の自販機はどれも販売中止。
かなり心許ない状態ですが14:00過ぎに下山を始めます。
来た道を戻るだけなので左が右に、登りが下りに変わるだけですが景色というのはそれだけでだいぶ印象が変わるもの。
ここからはほとんど無心に歩いていました。

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最難所を打てたことで、ホッとした思いですが山道なので油断は禁物。
歩くことにひたすら集中する感覚がとても心地よかったです。
白瀧までもう少し、というところにあったベンチで休憩していると、下から登ってくる人が。
横峰寺を打つにはあまりに時間も遅いし夜明かしできる設備があるお寺でもありません。
どうしたのかなと思うと向こうから声をかけられました。
西条市の職員さんで、横峰寺の方から倒木があるからなんとかしてくれと言われて調査に来たとのこと。
そういえば納経所の方は道はわかるかと声をかけてくれたし、何かと歩きの方を気遣ってくださるようでした。
倒木、言われてみればまたいで越えたような気がするのですがなにせ無心に歩いてハイになっていた時のこと、具体的なポイントは思い出せませんでした。
職員の方は引き続き登って行きました。
小松の町へ降りてきたのは17:00ごろ、途中で水分が切れましたがなんとか持ちました。

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暖かい時期だったらと思うと笑えません。
それはそれで横峰寺の自販機が動いていたのでは、とも思いますが。
今日の宿は町中にあるビジネス旅館小松。
「ビジネス旅館」とは称していますが、実際のところは遍路宿のようです。
難所を控える位置ながら宿のあまりないところで、今日は同宿の方がたくさん。
肉屋を兼業しているということで、夕食は豚しゃぶが出ます。

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さらに連泊するとすき焼きになるのだとか。
これはお決まりのメニューで、夏でも変わらないそうです。
急な予約変更の多いお遍路さん相手ということから、準備のしやすい鍋料理を出すという合理化の産物、とも聞きます。
流石に肉屋のものだけあって美味しかったです。
そしてもう一つ、この宿に泊まると横峰寺への近道を教えてもらえます。
近道と言っても同じ高さまで登ることを考えると、どこまで違うのかはわかりませんが。
ともあれ、難所を無事に越えることができました。
数日後にはまた難所が待ち構えていますが、まずは一息、というところです。